オブジェクト動画像のウェーブレット符号化グループ


[研究背景と目的]
 近年インターネットや携帯電話などの情報網の発達によって、マルチメディアへの関心が高まっています。これに伴い、動画像符号化圧縮アルゴリズムについての研究が盛んに行われています。そのうちの1つが高能率圧縮符号化という技術です。これは信号の統計的性質や人間の視覚の性質を効果的に用いて映像信号の冗長性を取り除き、できるだけ少ないデータ量で高品質の映像を再生するといった技術です。
 ここで動画像とは静止画像(フレーム)を時間軸上に並べたものと言えます。動画像の再生において、1秒間に何回画面を書き換えることができるかを表す指標がフレームレートと呼ばれます。

図1 動画像の構成(ビデオオブジェクト)

 前述の高能率圧縮符号化方式の国際規格化がMPEG(Moving Picture Experts Group)と呼ばれる国際標準化委員会で進められており、動画像符号化標準MPEG-4の基本規格にあたるVersion 1が1999年3月、Version 1の上位互換規格となるVersion 2が2001年3月に正式に確定しました。このMPEG-4の基本的なアルゴリズムは離散コサイン変換(DCT)と動き補償という技術を組み合わせた方式を用いています。このオブジェクトベースの符号化アルゴリズムを図2に示します。
図2 オブジェクトベース符号化アルゴリズム

 この離散コサイン変換(DCT)に変わる符号化方式として、近年ウェーブレット符号化が盛んに行われており、様々な種類のウェーブレット変換が提案されています。それに伴い我々の研究グループではこのウェーブレット変換に注目し研究を進めることで、動画像符号化のさらなる高性能化を目指しています。


[研究内容]
 フーリエ変換や離散コサイン変換がスケール変換のパラメータ(周波数)しか持たないのに対し、平行移動のパラメータ(時間)も伴うことがウェーブレット変換の主な特徴であり、時間成分と周波数成分を同時に解析できるという利点を持っています。しかし、可逆圧縮に適用しようとした場合にはシステムの構成が複雑になってしまうなどの欠点もあります。ウェーブレット変換にはHarrウェーブレットや離散ウェーブレットなど、様々な種類のものがありますが、我々はその中でも近年注目されているリフティングウェーブレットについて研究を行っており、同時にリフティングウェーブレットに取り入れるための動き補償の方法についても研究を行っております。

リフティングウェーブレットについて

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