<2016年春学期 紹介文>

 エネルギーに関する日独比較

 福島原子力発電所の事故から5年、日本とドイツは対照的な道を歩んでいる。日本では停止されていた原発が再稼働し、一方ドイツでは脱原発に向けて進んでいる。同じ一つの出来事に両国とも大きな影響を受けたことは確かだが、それによりもたらされた結果は全く異なる。日本においても、ドイツにおいても互いのエネルギー政策が度々メディアによって取り上げられている。日本ではドイツのエネルギー施策に関して賛否両論あり、情報が錯綜している。今、ドイツでは一体何が起こっているのだろうか。その真実を知るべく、ドイツのエネルギー施策の光と影の両面を見る必要があるだろう。また、ドイツでは日本の現状がどのように報じられているのであろうか。日本の情報が正しく伝わっているのだろうか。

 このような問いを元に、2016年度春学期の木村ゼミではドイツで日本がどのように語られているか、また日本でドイツがどのように語られているかを分析し、偏りなく両方の視点から現状を捉える力を鍛えた。主に東日本大震災以降の日独間でのエネルギー転換の取り組みに関する動向を様々な文献やメディアを分析することで比較した。さらに、ドイツの情報を日本に、日本の情報をドイツに発信することにも取り組んでいる。また、日独間の農村部や自治制度の比較を行っている福島大学の大黒ゼミとも協力しており、情報交換や合同でゼミも行った。

 具体的には、文献分析の方法のひとつである「批判的談話分析」や「ディスコースアプローチ」を用いて、3.11以前の日本の原子力教育や新聞での原発事故の取り上げ方を批評した論文を分析し、ゼミ内で意見交換を行った。記述内容をそのまま鵜呑みにするのではなく、一歩立ち止まって考える。それぞれの意見を聞くことで、互いに気づかなかった点にも気づくこともできた。

次に、ブックレポートを行った。エネルギーを取り扱っており、タイトルにドイツと書かれていない本という条件でそれぞれが見つけた本を紹介し合った。エネルギー関係の事が書かれた本ではたとえタイトルにドイツと書かれていなくても、ほぼ100%の確率でドイツが登場する。それぞれが持ち寄った本の中でドイツがどのような立場で取り上げられているか比較をした。ドイツを模範として取り上げている文献もある一方、批判的に取り上げている文献もあり、ドイツのエネルギー施策に関しては意見が分かれているということがここでも明らかとなった。

最終的にはエネルギー問題や環境問題に関する事の中でそれぞれが特に関心があるテーマを研究した。ゼミ生の一部はその研究内容を上智大学オープンキャンパスで発表をした。難しい事柄であっても、高校生向けに分かりやすく説明を心がけた。二人の学生が再生可能エネルギーについて異なる立場を代弁して白熱討論する発表もあった。さらに、ドイツ人留学生のゼミ生がドイツ語で発表を行い、それを日本人のゼミ生が翻訳するという新しい形での発表にも挑戦した。これは上智大学オープンキャンパス史上初の取り組みとなった。その他のゼミ生は、研究内容を、秋にドイツを訪問する福島大学の学生に向けた日独比較レポートとして執筆した。テーマは太陽光発電や森林やカーシェアリング、環境教育、BIO(有機野菜・有機加工食品)などバラエティに富んでいる。

 内容は濃く、考えさせられるテーマを取り扱っていましたが、アットホームな雰囲気の中、ゼミのみんなでお互いに刺激し合い高めあうことができました。日独の考えや取り組みの違いに興味のある方 、ひとつの事柄を他方の視点から捉える力を鍛えたい人方、何か自分の調べたことを発信、または形に残したい方、みんなと語り合い新しい発見をしたい方、とにかく、なんとなく面白そう、興味あるという方。みなさん、大歓迎です。是非木村ゼミで一緒に理解を深めましょう!
(文責J.N.)