紀尾井ウィークリー 
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2010年3月29日「感謝」
 不徳の致すところで、学位記授与式では高熱を発し、挨拶も儘なりませんでした。夕方の謝恩会は失礼し、学科長からの祝辞として「見晴るかす大海原の岸に立ち一つの星を見つめ行くべし」という詩を代読してもらいました。週明けは、留学前・後の学生、復学を希望する学生などが入れ替わり立ち代り学科長面談。そして編入生、在校生ガイダンスと続き、感慨に浸る暇はありません。一年間のご愛顧に感謝しつつ、石川彰新学科長にバトンタッチです。

2010年3月22日「架け橋」
 初春の暖かさに誘われて桜が咲いています。今週は学位記授与式。26日の学科別集会では一人ひとりに手渡し致します。式終了後、学科同窓会からお話しがある予定です。先代の「学科長メモ」もこの「ウィークリー」も卒業生の皆さんと私どもを結ぶ架け橋となれば、という思いから始まった企画でした。しかし、ウェブ上では不特定多数の読者を得て、小職も驚く反応が届いたりします。なお、学科長交代により来週のウィークリーが最終号となります。

2010年3月15日「populism」
 ウィラメット河畔満開の桜のもと、ポートランド・シティ・マラソンが行なわれ、セント・パトリックス・デイと重なり、服装からビールの色まで「緑」に染まる中、「環境」法比較史研究について学会発表を敢行。全米各地から集まった旧友たちとの会話で気になったのが、Glen Beck。不安や不満が渦巻く米国社会に再び現れたデマゴーグとの評。しかし3月14日付けのThe Sunday Oregonianが彼の主張にお墨付きを与えていました。ポピュリズムです。

2010年3月8日「打上」
 先週は、本年度最後の学科長会、続けて打ち上げがありました。約三分の一のメンバーが入れ替わる中、お互いの「健闘」を称え合い、学部の将来に思いを馳せました。そこでは、各言語を母語とする配偶者を得て、夫婦と親子との間で使用言語が異なる事例をいくつも伺いました。かつて学部長が「小塩さんが『日本人』であると仮定しての話ですが」と仰っていましたが、我が家はすべて日本語です。さて、今週は懸案の卒業判定学部教授会がございます。

2010年3月1日「春近し」
 早いもので、紀尾井ウィークリーを始めてもうすぐ一年。春が近いのですね。さて、東アジア各国の大学生を対象に将来の指導者として育成する「外交政策研修プログラム」がアメリカ大使館によって創設され、先月、外英からも多くの若者が応募しました。様々な書類選考を経て、ウェブ面接を行なった上で、百数十名の応募者の中から人選を行なうという狭き門。「桜咲く」の知らせが入りました。何にでも挑戦する姿勢を大事にして欲しいものですね。

2010年2月22日「+1」
 学科事務室に膨大な資料が届き、本年度の卒業判定準備作業が始まりました。14ヶ月ほど前の刊行物を紐解きますと、学長が本学学生入学時のTOEIC-IPテストの平均点が約650(全国大学平均+200点)で卒業までに+150〜230点引き上げられているとのデータを引き、加えて「英語プラス・ワン」の上智モデルを推進しましょう、と書いておられます。単位数やABCだけでは窺い知る事のできない卒業を控えた学生たちの足跡。注意深く見て参りましょう。

2010年2月15日「笑顔」
 本日は、本学大学院の入試日。学部は一般・転部転学科・再入学試験がほぼ無事に終了し、一息ついているところです。ところで、先週は昨年度卒業した元ゼミ生に通勤途中で出会いました。IT関連企業という括りになるのだと思いますが、同期の人間関係や通勤条件などを含めた労働環境がとても気に入っているとか。テレビの企業紹介でブラウン管(これは「死語」でしょうか)に映ったそうです。「充実しています」と話す笑顔に元気を頂戴しました。

2010年2月8日「美談」
 「上智で新しい奨学金制度が始まるのですね」と卒業生からメイルで連絡が入りました。すでに新聞報道などでご案内の方々もおられると思いますが、来年度、教職員ボーナスの一部を使って、経済的に困窮している学生を支援する独自の奨学金制度を創設します。現在、全学生の約15%が利用している奨学金制度は、返還不要な新入生・カトリック高校対象、第1・2・3種など多様です。昨年度、新入生奨学金は29名、第二種は四百余名に受給されています。

2010年2月1日「緊張」
 『学部の歩み』には学科教職員送別会の写真が掲載されています。一年前、事務を担当して下さった堀口さんを送り出し、佐藤さんを迎えましたが、今年は佐藤さんを送り出し、永井さんを迎えました。村上さんが扇の要として9階事務室を守って下さっています。時は流れて人は変れど、多くの方々に支えられて日々の執務をこなしております。これから一般入試、卒業判定など人生の節目を迎える若者たち。学科長も一段と緊張を強いられる季節となります。

2010年1月25日「最終日」
 とうとう2009年度の授業も最終日を迎え、学期末試験期間を残すだけとなりました。秋学期は新型インフルエンザによる全学的な休講が心配されましたが、一昨年の麻疹のような事にならず、一安心でした。もちろんH1N1感染者は自己申告によって欠席扱いにならぬ様、配慮がなされました。また先週金曜日はアメカナ研主催のスラチッチ先生(8月10日参照)の講演「オバマ政権と2010年中間選挙」に多数の学生、教員、学外からの方々がご参集下さいました。

2010年1月18日「語劇」
 一年前に出版された『上智大学外国語学部の歩み 1983-2008』には「語劇」の頁があり、1967年から1982年上演の作品が白黒写真で紹介されています。さらに頁をめくっていくと、ロシア語学科「ゾーイカの部屋」(2007年)やポルトガル学科「オズの魔法使い」(2005年)の様子がカラー写真で掲載されています。外国語を演ずる事で学ぶという学科単位の活動を、本学教育イノベーションプログラムから援助を受けて、広げていこうという提案が聞かれました。

2010年1月11日「懐古」
 今年の授業が二週目に入ります。先週は発表の中で「成人式を迎えるに当たり」という枕詞を用いている学生がおりました。式に出席するため、三連休を利用して帰郷している者からノロ・ウィルスに感染して大変な思いをしている、という報告もありました。皆さん、H1N1が一段落したとはいえ、手洗いとウガイは引き続き励行して下さい。また、卒業生からの年始報告も五月雨式に続いています。彼らが大学時代を懐かしむ気持ち、現役生に伝えましょう。

2010年1月4日「三が日」
 新年あけましておめでとうございます。皆さんにとって、寅の年が実り多きものとなりますよう、祈念致します。ところで、小職は年越しの仕事を処理しに四ツ谷キャンパスへ参りました。なかでも、来年度の講師複数名の先生方への出講依頼が滞っているのは、頭痛の種。しかし、三が日はすべての建物に施錠していたにも関らず、理系研究室へ通う上級生や院生が見受けられました。彼らの燃える向学心こそ、老兵が見習うべきもの、と勇気を貰いました。

2009年12月28日「Il Gesu」
 ローマ旧市街中心部のヴェネツィア広場近くに、イエズス修道会の母教会ジェズがあります。建設当初は簡素でしたが、今では装飾豊かなものとなりました。聖遺物として安置されているのがフランシスコ・ザビエルの腕の一部です。「反宗教改革」を標榜していた彼らの思想によれば、プロテスタントや異教徒は地獄の火に焼かれても、カトリックを信じるものは天に召されるのです。長老派四代目の私は、何だか少々心配になりました。皆様、良いお年を。

2009年12月21日「永久保存」
 今年の授業が最終週を迎え、キャンパスは赤と緑に彩られて綺麗です。こんな光景をご覧になるため、足を運んでくださるソフィアンもおられるのではないでしょうか。母校での思い出はずっと大事にして頂きたいものです。ところで、今年の英語学科に提出された卒業論文・研究は、三副専攻に提出されたものを除き、19本でした。小塩ゼミの卒業論文8本は、前任者の松尾弌之先生に習い、アメカナ研で永久保存して頂いています。それではHappy Holidays!

2009年12月14日「卒論提出」
 今年の授業が残すところ一週間強となり、学生も教官も少々息切れ気味。そんな中、怪気炎をはいているのが卒論執筆組。明日の締め切りを前に、提出して余裕の笑みを浮かべる者、最後の追い込みに必死な者。いずれも、大学における学術的集大成の完成を目指した若者たちです。さて今夏、国際シンポを開催したアメリカ・カナダ研究所が、来年のプログラムを企画中。12月中旬に、日欧米の歴史家を組み合わせて1960年代研究について議論を交わします。

2009年12月7日「組織交流」
 5日間に渡って来日していたフィラデルフィアのテンプル大学アメリカ研究プログラム長が、東大や埼玉大での講演も無事終えて帰国されました。本学のアメリカ・カナダ研究所を訪れたブライアン・サイモン氏とは、学生や教員間の交流計画を話し合い、来年秋の再来日時には実際その第一歩を踏み出す事となりました。そういえば本年6月4日にアメカナで講演して下さったラリー・シナガワ氏もメリーランド大学との組織的交流を目的に来日されていました。

2009年11月30日「一方通行」
 明日から師走。この土日は連日入学試験でしたから、既に走り出しています。さて、先週後半から5日間に渡り、CLILの専門家デイヴィッド・マーシュ氏が来校され、数々の講演会を開いて下さっています。あらゆる教科科目を(英語に限らない)語学教育といかに組み合わせていくか、一緒に考えています。ジェネレーションC(yber)に対して、一方的に話す、質疑応答なのに意見を長々と述べる、はご法度です。そういえば、そんな現象が学内であちらこちらで。

2009年11月23日「ヘルパー」
 本日も祝日ですが、授業日数確保のために大学の授業は開講中です。学生たちは、ちょうど秋学期の折り返し地点を通ったところで、奮闘中。さて、英語学科のあらゆる行事を助けてくれるヘルパーたちは、お昼休みを使って今日もミーティングです。略して「パー長」(余り心地よい響きではありませんね)を中心に企画運営・役割分担など通年で議論し続けます。現パー長はラガーマン(CTB)なので、来年度冒頭のオリキャンではハカが観られるでしょうか。

2009年11月16日「be Obamarized」
 オバマ大統領が駆け足来日。大使館に勤めるOGの粋な計らいで、英語学科の1年生と共に、講演会へ参りました。聴衆の間に、オバマニスタス(オバマファイル)とオバマフォビア(バラクフォビア)との緊張関係はありませんでした。昨年11月の大統領選挙当日、シカゴにおける彼の演説を聴いた学生が語ってくれたようなオバモメンタムは少々色褪せた様に見えました。しかし、演説上手な彼に魅了された9名の学生たち。「希望の使徒」となってくれるでしょう。

2009年11月9日「consortium」
 過日、某大の学部長とお目にかかりました。英語で専門科目を教授している組織が、大学の壁を越えて協力し合う未来について語られた時、お使いになった言葉です。競争相手ではなく、パートナーとしての関係です。私の前任校は、近隣の4大学と単位を互換していましたから、違和感がありませんでした。驚いたのは、大学時代の私について彼が覚えておられたことでした。しかも、勤勉でも実直でもない学生だったことを。果たして提携して下さるでしょうか。

2009年11月2日「知の上南戦」
 今年で二年目になります。6月の上南戦はスポーツの祭典ですが、11月3日は知的交流。南山と上智のアメリカ研究ゼミが学生を送り合い、卒業論文の合評会を開きます。ちなみに我々の夏の中間発表は、HP「小塩和人研究室」で公開中です。去年は我々が名古屋に、今年は彼らが四ツ谷に出向きます。双方ともに学園祭の期間です。交通費などは自前ですから、いつまで続くのか不明です。細々としかし着実に新しい学術的伝統を作り上げていきたいと願っています。

2009年10月26日「差別化」
 繰り返される質問ですが、国際教養学部と英語学科の違いは何でしょう。前者の3割は留学生で(公募制推薦生を除くと)SATやTOEFLスコア等米国式選抜を経た者と相互に刺激し合っています。後者は日本の教育制度を経た者と海外就学経験者とが切磋琢磨しています。従って、本学科は英語がペラペラの学生ばかり集めているのですか、と問われますが、必ずしもそうではありません。十分とは言えませんが、多様な学生のニーズに応えようと努力しております。

2009年10月19日「誰が入る」
 英語学科は誰のためにあるのか。日本国内の教育機関だけを修了した者か、あるいはより多くの人々に開かれているのか。先月、海外就学経験者を対象とした入学試験が、国際教養学部以外の全学部全学科で行なわれ、161名が合格(昨年比58名減)。異文化体験で身に付けた個性、各国固有の教育制度で培われた教養を評価しています。国教を除く収容定員2175名との比率で言えば8%程度。本学科定員160名に当てはめると約13名。これが適正規模でしょうか。

2009年10月12日「外へ出る」
 本日は「体育の(祝)日」、卒業生が授業訪問に参ります。さて、先週は2010年度交換留学の申請締切がありました。昨年度、上智大学は168名を交換留学に出しておりますが、外国語学部はその六割強の92名を占めておりました。交換制度を利用しない学生には、「一般留学」や休学して留学、休暇を利用した海外短期研修・語学研修など多くの機会が開かれています。若い内に外に出て様々な経験を積む事の大切さは、語り尽くす事ができない程ございます。

2009年10月5日「科目変遷」
 秋学期が始まりました。さて、英語学科は3・4年次の研究分野として、英語研究とヨーロッパ研究を2007年度に加え、翌年度から学部全体で研究分野制を実施しています。アメリカ研究、英国・英語圏研究、言語学研究、国際関係研究、アジア文化研究、合計7分野から2年次後期に選びます。一方、1990年度のカリキュラム資料を見ますと、こうした分野は無く、英文和訳、スキルズ、英作文、英文学、時事英語、英会話といった必修科目が並んでおりました。

2009年9月28日「懇親会」
 大学生活の集大成・有終の美とも言える卒業論文、本学科では選択です。今年度の小塩ゼミでは、8名の4年生が論文執筆を行なっています。この週末は、他のゼミ同様、泊り込みの合宿を敢行しました。一人当たり1時間程度の議論を行なうという、普段はできない集中型の濃密な時を過ごし、懇親会で締めくくりました。2-3ヶ月に一回飲み会をしていますが、お互いの人間性・価値観を知る大切な機会です。年度末には総仕上げ「パスタの会」が待っています。

2009年9月21日「通訳の夢」
 英語学科は、言語学副専攻と共に通訳科目を提供しております。OG・OBを含む講師の先生方のご尽力で多くの学生が学んでおります。授業時間外にはコンテストへ出場するためのトレーニングも行なわれています。活きた教材として学内で開かれる各種講演会の音声・映像も使われています。受験生の多くが通訳家になる夢を抱いていることも事実です。人のために、異文化コミュニケーションをよりスムースに進めるために、という高い志をもった若者たちです。

2009年9月14日「入学の間口」
 海外就学経験者とカトリック高等学校を対象とした入学試験が今週末ございます。前者は1971年に導入され、1998年と2001年の見直しを経て現在に至っております。後者の導入は2008年。少子化問題が浮上する以前から、受験生確保の手を打ってきた訳です。他方、一般入試と比較すると新入生の学力低下の一要因となるばかりか、社会一般から「受験生の青田刈り」と揶揄されています。筑波、九州、一橋はAO入試廃止を決めたと聞きます。見直し作業が続きます。

2009年9月7日「女性と政治」
 物々しい警備の中、十号館大講堂で「未来に向けて変革する役割」という副題がついた国際シンポジウムが開かれました。任命されたばかりのジョン・ルース駐日米国大使が登壇し、CNNコメンテーターで有名なドナ・ブラジル氏が基調講演し、本学卒業生の安藤優子氏と対談するなど盛り沢山のスケジュールに千客万来でした。米国大使館と共催のアメカナ研もほっと一息。過去にはビル・ゲイツ国防長官やコンドリサ・ライス国務長官も講演して下さいました。

2009年8月31日「書類の山」
 一筆主義という悪癖があると言われております。組織が大きくなればなるほど、文書で願い出る必要が増すのはある程度仕方の無い事かもしれません。ちょっと頼むよ、といった村的発想はご法度です。町では顔を突き合わせての意思疎通は少々難しくなります。一方、学科長の目の前を通り過ぎる書類の多いこと!精読せずに捺印しようものなら、付箋がついて戻って参ります。度が過ぎると、担当者が直接ご説明に来られます。職員室に呼ばれた時の様になります。

2009年8月24日「アメカナ」
 本学にアメリカ・カナダ研究所が創設されたのは、1987年。爾来、研究成果を教育の現場に還元し、北米に関する理解と知識の普及に貢献してきました。私も昨年より副所長を任じられております。しかし、キャンパス内外を吹き荒れるリストラの嵐と無縁であることは許されず、研究所面積が半減致しました。そして、さらに他研究所との・・という迫り来る危機は、とりあえず本年度は避けられました。戦々恐々とすべきなのか、粛々と仕事をこなすべきなのか。

2009年8月17日「お盆休み」
 上智大学は現在、一斉休業中で静かな毎日です。とはいえ、スラチッチ一家に加えて、法学部が招聘して外国語学部でも教えて下さるオクラホマ大学のカトナー先生も来日し、紀尾井坂ハウスに入られました。私の前任校でフルブライターとしてお世話した方です。何て小さな世界なんだ!というわけです。一方、留学帰りの学生たちの単位換算や留学を希望する学生の面接なども五月雨式に続きます。さらに、学部長を経由して提出する各種書類の作文もあります。

2009年8月10日「フルブライト」
 今学期から来学期にかけて一年間フルブライト招聘講師で英語学科がお迎えするポール・スラチッチ先生ご一家が来日され、紀尾井坂ハウスに入居されます。清泉インターナショナルに通うお2人の小学生が、学級分けテストや面接のために早い到着となりました。振り返れば、私は16年間で14名のフルブライターの担当をしてきました。そういえば、大学院の同級生の一家4名をお世話した時があり、やはり小学生2人はインターナショナルスクールに通いました。

2009年8月3日「オープン・キャンパス」
 いろいろとハプニングはあるもので、流そうと思ったビデオが機械のトラブルで使えない。パワーポイントを用いたプレゼンテーションを予定していたけれども、結果的に真っ青なスクリーンの前で、それこそ顔面蒼白になりながら汗だくで講演。それでも、来場した高校生や保護者の皆さんには熱い思いが十分に伝わる。そんな暑い真夏の広報活動。もちろん、学生や教員の個別対応は粛々と行なわれ、多くの皆さんが笑顔で帰宅の途につかれたのには一安心です。

2009年7月27日「キコクの悩み」
 2000年からアーバイン市で家族ぐるみのお付き合いをしているご一家のお嬢様が1年半後に大学進学を控え、悩んでいらっしゃいます。滞米生活10年の彼女は、日本の教育をほとんど受けていません。当然、進学先は合衆国内になるわけでしょうが、ご両親はいずれ帰国するのだから日本の大学を、と考えておられます。本学に加えて、I大とW大が選択肢となります。都心か郊外か、大規模か小規模か、書類選考か一般入試か、など選択の基準は多岐に及びます。

2009年7月20日「春学期末」
 本日は祝日ですが、文部科学省が指導する授業日数確保のために大学の授業は開講中です。学生たちは、学期末論文や定期試験に向けて、奮闘中。今週で春学期の授業が完了し、来週は学期末試験期間となり、続いて8月2−3日はオープンキャンパスが開かれます。今年もディーリ先生による日米手話やペイシェンス先生によるオセアニア研究入門の模擬講義、教員や学生による来訪者との対話など沢山のメニューを用意しています。皆さん良い夏をお過ごし下さい。

2009年7月13日「適正規模」
 財政論において収支が適切であるか。教育行政において財源と学校運営費との費用対効果がふさわしいか。霊長類研究においては、対人(?)関係を築ける150人という範囲内か否か。興味深い探求がされている命題です。とりわけ大学の語学教育においては、専門家たちが教育効果の面で20名以上を問題視してきました。しかしeラーニングが拡大する中、この数字の意味にも変化が訪れています。数字が一人歩きして人間を裁くという愚行だけは避けたいですね。

2009年7月6日「黒船来航」
 昨日は、東京女子大で開かれた新左翼日米比較研究(来年12月に国際シンポ開催予定)の司会をして参りました。さて、先週は学術振興会のグローバル30審査結果が報告されました。この事業は、日本における高等教育の国際競争力(留学生受け入れを含む)を強化し、国際的に活躍できる人材養成を図ることを目的とする、国際化拠点の形成を総合的に支援するものです。国立15、私立7校が応募し、ソフィアは最後に名前が呼ばれ、13校の仲間入りを致しました。

2009年6月29日「思想としての言語」
 外国語はいくつ学ぶべきなのでしょうか。現在、日本の中等教育制度では英語が圧倒的に幅を利かせ、他の言語を学ぶ誘引が阻害されている、と聞きます。しかし、たとえば入学試験で英語と並んで他の外国語も受けられるとなれば、事態は変化するのではないか。そんな提案が学部内で議論されています。人は言葉で考えるため、言語は思想であり、疎かに出来ないのです。が、公立中学に通う子に持つ親としては、その前に日本語が危ない、と考えてしまいます。

2009年6月22日「切捨御免」
 上智大学は大学案内等で「少人数教育」を謳う一方、10名以下の授業は切り捨てる、という方針をご存知ですか。真の少人数教育とは何か、考えておりますと、卒業生から御連絡。人生も一区切りついたので、在学中に受けた英語教育の恩返しをしたく、現役の学生さんたちのために役立ちたい、とのお申し出。これまで余り無かった事なので、どうすればOB・OGと英語学科生をつないでいけるか、思案致しましょう。人と人が顔を合わせて教えあう姿の実現に向けて。

2009年6月15日「英語絶賛」
 梅雨の季節は教育実習の季節でもあります。先週は、英語学科の4年生が指導を受けている都立高校に参りました。私が都立高生だった頃を思い出させる光景が沢山ありました。2時限目と3時限目の間のホームルーム時に男女問わず一斉に弁当をかけこむ様子など、35年前にタイムスリップした気分でした。指導教官の丁寧な導きを得て行なった学生の研究授業は、ほぼ全てを英語で行なう1年生向けのもので、英語科の他の先生から学ぶものが多い、と絶賛されました。

2009年6月8日「行事満載」
 第50回上南戦は上智18勝、南山14勝で、上智大学が総合優勝しました。ここ2週間ほど、キャンパスは記念Tシャツを着た学生教職員で溢れ、英語学科の村上さんは白、堀口さんと交代した佐藤さんは青が似合っていました。東郷さんは、上南戦と並行して、管弦楽団の定期演奏会もこなす八面六臂の大活躍でした。さて、今週の学科教授会には副学長が来訪され、将来構想に関して意見交換が行なわれる予定です。さらに今週末は地域懇談会つまりPTAが開催されます。

2009年6月1日「三丁目の夕陽」
 英語学科同窓会の総会・懇親会、STP40周年祝会が、去る日曜日のオール・ソフィアンズ・フェスティバルに併せて、開かれました。去年、学科長として初めて同窓会に参加した時、小生が生まれた年に卒業された金祝の方々と御目文字しました。いわく、教室から外を眺めると日々東京タワーの背が伸びていった、のだそうです。また、英語学科の現役学生とSTP元参加者・現役英語教員が協力した模擬英語指導も盛会でした。こうした交流は大切にして参りましょう。

2009年5月25日「論争決着」
 大学の教官とは何をする人なのか。大学という組織の一員として教える研究者。つまり、組織運営上の校務をこなし、学生を対象に、専門に基づく教育を行なう。具体的には、教授会や入学選抜など、公の行事に参加。担当科目を授業し、教室(授業時間)外でも、準備や添削を行なう。では、どれだけすべきなのか。この問題を巡って、大学の中のみならず外でも大論争に発展致します。平日の昼間に街をうろつく輩、研究しかしない不埒な輩という揶揄もあります。

2009年5月18日「残される謎」
 現在サバティカル中の丹野先生が英語学科長メモを終了してから3年ぶりに週一ですが発信中。メモは学生からの相談内容について多くを記録していません。先週、数件ありました。中には問題発言をする他学部教官の告発も。学内にはこうした問題に対応する組織がありますが、解決やいかに。「学生一流、施設二流、教師三流」という表現があるやに聞いておりますが「教師は学生が育てる」という原則に照らすと、なぜ問題教官が消滅しないのか、謎が残ります。

2009年5月11日「知性派天才音楽家」
 連休中は普段できない事、たとえば本屋やレコード屋に参ります。本学科の2年生がバイトしている新星堂分社で一押しのデレク・トラックスの最新アルバムを手に入れました。オープニングからボブディラン風。私が1960年代にアメリカ音楽に出会ったと授業で話したので推薦してくれた一枚。彼が凄いのは、半ズボンを穿いていた9歳でステージに立ち、私の愚息の年齢でプロになったばかりでなく、プラトンに興味を持ちラッセルの『西洋哲学史』を読んでいた点です。

2009年5月4日「教師冥利」
 連休中は卒業生からのメイルが入ってきます。公立中学校で教え始めて2年目の彼女は、オバマ大統領就任に際し、演説全文を生徒たちと一緒に学んだそうです。英語だけではなく、各家庭が抱える様々な問題に直面し、自分がいかに恵まれているか実感している様子。一方、納税者2年目(今年から住民税も!)の彼は、購買・調達の仕事で、台湾を取引先にしているので中国語を学ぶ計画。6月末の現役3・4年生との飲み会に発破をかけに来るのを楽しみにしていますよ。

2009年4月27日「壊すのは簡単」
 今夏よりケンブリッジ大学夏季短期研修が始まり、同窓会からも援助を頂戴することになりました。本プログラムをめぐっては、当初「食いものにされないか」と金額や内容を心配する声も聞かれましたが、間に入って下さった方々のご努力が実り、1年生から最終学年に至るまで多くの英語学科の学生が応募することとなりました。新しいことを始めるには多大なエネルギーが必要です。反対に壊すのは簡単ですが、その後の修復が可能かどうか、私はとても疑問です。

2009年4月20日「それぞれの春」
 春学期第二週開幕。履修登録の追加期間とあって、相談に来る学生が後を絶ちません。また、夏の短期英語研修申し込み書類を持参し、学科長署名を求める学生もおります。皆、向学心に燃える若人たちです。また、本年度「在学継続」となり「内定取消」を経験した<捲土重来>学生から早くも「サクラ咲く」の朗報。現役の4年生が悪戦苦闘する中、そういう学生もいるのですね。それぞれの春です。ところで学科会議初回は先週無事終了、今週は学部教授会です。

2009年4月13日「ウィンドウショッピング」
 本日から授業が始まります。最終的に履修者が確定するのは来週ですから、今週はお試しウィーク。去年「いなかった」学生やつい二週前まで「卒業させて」と懇願していた学生らに会いました。韓国からの交換留学生も履修科目を最終確定し、桜の散った四ツ谷では気分一新、凛とした雰囲気が漂っております。最終学年の学生たちには、ガイダンスでも強調しましたが、どの科目が履修できて何が残っているのかロヨラで確認するように、口を酸っぱくしています。

2009年4月6日「1週目が無事に終了」
 オリエンテーションキャンプが無事に終わりました。先週は1日に入学式後、学科集会が10号館講堂で開かれました。新入生と保護者を前に、24名すべての教員が紹介され、オリキャンに参加しない方々は、一言ずつ祝辞を述べました。翌2日にはTOEFLを使ったクラス分けがございました。オーラルの力を基に3グループに分けるもので、決して英語の優劣を競うものではありません。3日は在校生ガイダンス。とくに履修単位の区分について周知徹底を図りました。

2009年3月31日「早くもガイダンス始まる」
 明日から始まる新年度を前に、本日は編入生のガイダンスがございました。皆さん3年生となる方々ばかりで、目的意識もハッキリしており、頼もしい限りでした。彼らを含めて新入生は全員週末のオリエンテーションキャンプにて、英語学科の教員や上級生たちと交流を深め、履修に向けてのアドバイスなどを受けることになっております。これは上智大学の「伝統」として受け継がれてきたもので、学生主体の催しです。今年は富士箱根ランドで1泊2日の予定です。