創刊のことば

 

いまから4年前,私たちのうちの何人かの呼びかけによって,SPSN(社会政策研究ネットワーク)という集団が生まれました.当時は,社会政策,社会福祉,社会保障,社会計画,公共政策などを専攻する,とりわけ若い研究者たちが,各学会や各大学・研究所に分散しており,お互いにその存在を知らないという事情があったからです.このため私たちは,この分野の研究者の知的な交流を促進するため,定期的な研究会活動を開始しました.さいわい,この試みは若い世代の支持を得て軌道に乗り,今日にいたっています.また,この活動のなかから,少なからぬ数の著作や論文が生まれ,それらを世に問うことができました.

いま,これらの活動の成果を踏まえて,私たちは『社会政策研究』を創刊する決心をしました.ある研究分野が,どれくらい生産的であるかということは,その分野について発表される論文の数がどれくらいあるか,ということが一つの指標となりますが,私たちは,本誌の刊行によって,この分野における研究の蓄積に寄与することができると信じています.また,本誌を通じて,学会政治や官僚主義的な学会組織から自由な知的コミュニティが形成されることを念じています.

SPSNが本誌の母胎となっていることは間違いありませんが,本誌はSPSNの機関誌ではありません.その意味では,すべての人に開かれた雑誌です.たえざる相互批判の可能性こそが,客観性の維持を確保することができるからです.このことの意味は二つあります.ひとつは本誌が複数の世界に対して開かれているということです.編集委員会の構成を見ればわかるように,本誌は学際性をめざしています.また,研究の世界からだけでなく,実務をはじめとする実践の世界からのフィードバックも望んでいます.もうひとつは,本誌がエイジレスな雑誌をめざしている,ということです.SPSNにおける活動が若い世代が中心だったのは,ジェロントクラティックな社会のなかでは,そうすることによってしかエイジフリーな状態を作れなかったからにほかなりません.

小誌は発行部数を誇るような雑誌ではありません.文字通りの小誌です.しかし日本の社会政策研究の最先端を示すものではありたいと思っています.このような企てを支持していただいた東信堂に感謝するとともに,幅広い読者のみなさんの支持を訴える次第です.

 

2000年10月     

社会政策研究編集委員会