News from Sydney No.3
2000/4/1号

2000年4月1日発行
発行人 鈴木雄雅

00年度2年生志望者ゼロか/4年生卒論登録を忘れずに

STOP PRESS

 シドニーでの在外研究も3月後半オークランドへ行き、下旬に日本へ帰国して終了しました。4月下旬からひと月ほど授業の関係で日本にいる予定です。相談のある方はこの機会を利用してください。

     今回はちょっとしたエッセー風でランダムにまとめました。
 
sushi roll, sushi train or sushi orient express 前号で紹介したが、いまシドニーで(というよりほかの都市でも)寿司、握りより(手)巻きが大人気。sushi rollという単語をあちこちでみかける。食べ物やさんが集まるfood courtとよばれるところに行けば必ずある。後ろの英語は何を隠そう――回転寿司のこと。シドニー市内に確認しただけでも4軒はあり、昼時は列ができるほど。はたしていつまで続くやら。
 ただ、海老天、アボガド巻きなどはともかく、チキンのから揚げ巻きはね?

オーストラリアは3月が新学期 もちろん大学のことで、高校までは2月から back to school ですが、2月の最後の週は日本の大学のようにフレッシュマン・ウィークで、サークルやら同好会がテントをはって新入生の勧誘に必死。図書館やその他の施設も、幼稚園の案内係りじゃあるまいが、やたら新入生へ親切にしているのが目立つ。
 確かに四谷キャンパスと同じように、2月の夏休みの真っ最中は人っ子ひとりいなかったキャンパスや図書館(ちょっと大げさか)にあっという間に学生が溢れ始め、co-op (大学生協の書籍店)にも長蛇の列だし、図書館の検索端末もなぜか列ができ始めた。バス停にも長蛇の列で、パスをもたずに、いちいち切符を買ったり、行く先を尋ねるから時間がかかること間違いなし。もう少し案内掲示と社内案内があるとスムーズに行くと思うのだが。
 それでも、昔と比べるとバスもきれいで、バス停の案内もずいぶん良くなったのだから、まあよしとするか。これもみなオリンピックさま、さまでしょう。

Que make a que  上に書いたとおり、オーストラリアとイギリスに共通することは? のひとつの答えが「列を作ること」であるのはご存知かもしれない。ただ、依然よりは銀行やスーパーのレジで長々とした列をみかけなくなったように思う。臨機応変にレジをあけたり、スーパーではアイテム(買う品物)数が3とか5つ以下の人のために express レジを作ったりしているからだ。
  ただ、ATMはあちこちにみかけるが、1台程度なので昼休みや週末前にはすぐ列が出来ているし、それも建物の外へ向かってのATMなので、道端で現金の引出しを行う風景はちょっと違和感を感じる。まあ、日本のように銀行内に10台以上のATMがあり、警備員がいてアシスタントがいて安全な環境は珍しいかも。

Checque, Check  これでいいかな。チェックと言っても、いわゆるT/Cのことではない。これまで上に書いたような面倒さからバスは決まった路線にしか乗らなかったが、今回は TravelPass を利用したので少しぐらい行き先間違えてもいいかぐらいの気持ちで気軽にバスに乗っていた。覚えている限りでは3度いやそれ以上か、制服、私服(ただしちゃんと胸にバッジをつけている)のチェックマン、つまり不正乗車をチェックするひと―そう、検札のひと―に出くわした。
 実はこれ、バスだけでなく電車も同じで、不正乗車が見つかると手痛い罰金が待っている。先日も寝過ごしたので駅で清算しようと思った学生が運悪くこのチェックマンにあい、有無を言わさず罰金刑が課せられた。裁判で争ったが結局敗訴。
 それにしても、市内の駅では一応自動改札を通り抜けるようになっているから、切符を買わないと入れないが、少し郊外に行けばそういうものがない。券売機の使い方もちょっと分かりづらいし、故障も多いから、つい面倒だという人もいるだろう。またおかしなことに、乗り越し清算というシステムがないらしく、上述の人もそれにひっかかったようなところもなくはない。


便利にはなったけれど 「昔と比べて…」と書いたが、1980年代はさして感じなかったが、90年代、とくにここ数年でシドニーはオリンピックを控えて、あちこちで建設ラッシュ。この公共事業はどこの国でも経済を活性化させる。便り(1)に乗せたトラムもできたし、カジノはあるし、と。
 でも、変わらないのはコピー機やマイクロリーダーのメンテナンスの悪さ。あえてメーカー名を出さないが、使いなれるまでに数枚から10枚程度はミスっても仕方がないと思うくらい。ここでも、Kinko'sの進出が目立つ。
 また、市内にはあちこちにいわゆるコンビニ系のお店(セブン・イレブンは少ない)が増え、hot foodでないcoldのサンドイッチや飲み物が時間外でも買えるようになった。一番驚いたのはかつて平日5時には客を追い出し、土曜日半日、日曜日はもちろん閉店の大手デパート、そしてWoolworth Colesといったスーパーも朝早くから夜遅くまでお店を開けるようになったことだ。さすがにまだ日曜日はある程度限定されるにしても、競争社会に入ったオーストラリア社会の一面を見せている。
 かつては、品物を受け取りくしゃくしゃとビニール袋に入れて、投げ返すしぐさ(おつりも)もみられなくなったのはありがたい。

伊田・常磐大学教授(認知行動・計量心理学)のサイト  2カ月ぶりに伊田教授のHPにアクセスしてみた。このHPのなかで「大学往来」はいつも楽しく読ませていただいていたのだが、このところすっかり忘れていた。日本の大学教育、教授のありの姿を醸し出している。大学の公式意見でないところが面白いのである。授業評価の結果もでている。
 その中で欄外に「大学院唯野教授」と紹介されたあるサイト――もし大学院に進学を考えているひと、読んでみてはいかがかな。
 以前にも紹介したが、「大学往来」2月2日のところに「プレゼンテーション」の新版が掲示されている。2000年度のゼミ・プレゼンテーションはPPTを使ってということなので、参考になるだろう

インターネット/ケーブル・テレビ事情    
Austar   FOXTEL   Oputs Television

日本語・日本情報メディア(その1) シティで日本の衛星新聞を売っているお店がなくなり(ホテルなどをのぞき)、日本から空輸の朝日新聞は7ドルという値段がついている。ついに衛星版も1回も買わなかった。
 日本情報はもっぱらインターネットのストリーミング(読売がいい)と早朝5時半からSBSが放送してくれるNHKの前日夜7時のニュースが日課となった。ストリーミングはオンデマンドで何時でも、何回でも聞けるから、インターネットへアクセスしている間中聞いていても、料金の付加はない。
 住んでいるアパートはどうやらオプタスと契約しているらしく、BBCワールドが入るので、1日つけ放しにしておくとTVの多重放送で数時間日本語が流れている。土、日になるともっと多い。もっとも、アパートの受信装置が悪いのか、それともBBCが悪いのか、音声が途切れたり、映像が固まる(結構おもしろい。静止画像ですね)こともあったり。
 ところが、これもいいようで悪い。と言うのは地元のニュース、つまりオーストラリアのニュースはそういう英国的グローバルワールドからみたら、ダウンアンダーの国になり、やれタスマニア沖の大イカの話、カンガルーではないにしてもアウトバックの話とかのステレオタイプなのだ。それでもオーストラリア・ドルが為替レートででてくる。
 やはり、地元のニュースは地元のメディアが強く、毎日のニュースと新聞は欠かせません。多メディア時代になったとはいえ、改めてメディアの社会的機能を考えさせられました。

日本語・日本情報メディア(その2) ABCは朝5時の時間帯に「日本語大好き」という語学系を、またSBSは午後の時間帯に日本語学習番組を流している。前者は家族を後者は先生と生徒がメインの作りだが、後者にでてくる人形の生徒はメガネをかけていない代わりに、何とお相撲さんを連想させるちょんまげを結っている。「何だ、これは」と思ってしまう。
 日本のアニメは「釣吉三平」「ドラゴンボール」などが流されているが、The Simpsonが圧倒的に人気がある。ある大学教授(女性、マーケティング学会会長)がインタビューで好きな番組に The Simpsonをあげていたのには恐れ入った。まあ、日本でも似たような話はあるか。
 SBSは数週に1回程度は日本語番組をそのまま流す。日活ロマンポルノらしきものもあったり、中条きよし主演のやくざ映画があったり。
 一方、ラジオの方はシドニーでは毎週火曜日夜、メルボルンからのSBS日本語放送が聞ける。ちょうど同じ時間帯にシドニーエリアを対象にしたコミュニティラジオ(FMTokyoと提携している)も聞ける。前者は女性のパーソナリティが中心となり、日本のニュースやオーストラリア各州の通信員が直接語るといった、古典的な構成。後者は日本のFM局の流れを想像してもらえればいい。
 こうなると、かつて海外にいったら、もちろん衛星の日本語新聞や空輸の新聞もあまりなかった頃、唯一の日本情報メディアであった短波の「ラジオ・ジャパン」の存在も気にはなる。しかし、JETやJSTVなどが放送される地域はともかく、世界ではそうでないところのほうが多いことを忘れてはならない。
 夜7時(夏時間で日本の5時)になると、大相撲の生中継を、アンテナの向きと、チューニングを気にしながら聞いたのがなつかしさになってしまった。

   
お世話になったシドニー大学図書館。オーストラリア最古の図書館でフィッシャー・ライブラリーと称されている。右側は、隣接する公園。昔はただの芝生の広場だったのがきれいに造園され、遊歩道がついて学生の憩い(恋)の場であることに変わりない。
 

  シドニーの住まい  右はNSW州立図書館にミッチェルライブラリー入り口

文献紹介
THE MACQUARIE ENCYCLOPEDIA OF AUSTRALIAN EVENTS. Reviseds ed. Macquarie Library Pty Ltd., 1997. A$49.95. 1983念に出版された初版は1980年代までだったが、今回はそれから約10年をいれて、項目も多少変更している。分野別にオーストラリアの歴史がわかる。
・本多勝一『マスコミかジャーナリズムか』(朝日文庫、520円 A$11.10) シドニーの紀伊国屋書店で購入してしまいました。奥平康弘、鎌田慧、青木貞伸、原寿雄氏らとの対談が興味深い。




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