材料反応学 (MATERIAL REACTION ENGINEERING) 

1.概要
 ここ最近、産業分野から「材料」に要求される機能は益々増え続け、新素材・新材料の創製に向け非常に速いスピードで研究開発されている。しかし、最近の材料開発には、物理、化学、金属学、生物学などの境界領域にまたがった学問領域を必要とする。そこで、新機能性材料の創製に向けた基礎となる、材料熱力学、金属電気化学、材料表面反応学について講義する。
 また、企業での研究開発の進め方、社会人と学生の違い、企業研究者の適性等、社会人になるにあたって知りたいこと、疑問に思っていることについて概説する。

2.連絡事項
 ★Table 1-8, ヘスの法則図、Table7(FeのSをノートに書き写すか、プリントアウトしておくこと。毎回の演習で使います。
 ★燃料電池におけるΔG,ΔH,ΔSの関係
 ★ぬれの諸現象と接触角
 ★材料熱力学参考書

 ★休講: 2003年6月27日、7月4日

3.講義内容
1.イントロダクション(材料熱力学、表面反応学、金属電気化学とは)
2.材料反応における熱力学第一法則とその周辺(化学反応と熱、ヘスの法則)
3.エンタルピー(標準生成エンタルピー、各種エンタルピーの計算)
4.材料反応における熱力学第二法則とその周辺(エントロピーの計算)
5.材料反応の進む方向(ギブス自由エネルギー)
6.熱容量とエンタルピー・エントロピー(各種条件でのエンタルピー・エントロピーの計算)
7.Ellingham図による反応の進む方向
8.表面反応学(化学結合と物理結合、表面自由エネルギー、ぬれ性、毛細管現象)
9.表面現象(Youngの式、Dupreの式、分子間力)
10.ぬれの工業的利用(界面自由エネルギー、接着仕事、面粗さとぬれ)
11.金属電気化学(イオン化傾向、電気化学セル、電子のふるまい)
12.腐食の電気化学(ファラデー電流と腐食、異種金属接触、Pourbaix電位―pH図)
13.腐食の速度論(不働態化現象、分極曲線、耐食性)