テザードシステムにおける運動解析チーム

 当研究チームでは、テザードシステムを題材として、フレキシブルマルチボディシステムの運動解析を行っています。研究内容はシステムの運動に対する制御手法の導入と近似解法を導入した高速な解析手法の確立の二つに分けられています。

・テザードシステムの運動と制御

探査システムを想定した制御方法の導入を行っています。テザー上端に位置する母船の移動とテザーの巻き取り・繰り出しによる長さ変化を用いて先端機の位置を目標範囲内に収めるための位置制御及びシステムの運動中にテザーの先端に連結されている先端機の姿勢を目標値に収めるための姿勢制御法の導入を目標としています。

・柔剛混在系の時変系に対する解析手法の開発

上記の探査システム、可変宇宙構造物、クレーンシステムなどでは、ブームなどの固い部材とロープなどの柔らかい部材とで構成されます。また、ロープやケーブルの長さが変化することで機能を果たす機械システムであり、解析が非常に複雑で解法自体の提案が望まれます。そこで、マルチボディダイナミクスの手法に多重時間尺度法(Method of Multiple Time Scales:MMTS)を適用することで近似モデルを作成します。これによって、固有値が時変となる特殊な系に対して、高速な解析手法を提案しています。MMTSとは、摂動法による解析手法の一つであり、微小パラメータによって解を摂動展開し、さらに多数の時間スケールの関数と考えることで、複数の固有周期を持つ系を解析することができる手法です。この他、振動工学の手法であるモード合成法を用いることで系全体の自由度を低減化しています。このようにして近似した運動方程式を解くことで、複雑な非線形運動方程式を効率良く解析することを可能としています。


図1 ドローンテザーシステムのイメージ図