第23回 革命党体制 (2) 開発路線   7月4日(木) 1.カルデナス後の革命国家:制度化の進展 □ 制度革命党(PRI)への改称(1946) ・ヘゲモニー政党システム(G・サルトーリ)の構築 ・中間層の組織化、一般部会の頂上組織CNOP(人民組織国民連合、1943) □ ヘゲモニー政党システム ・1946年選挙法:選挙における中央の統制を強化 ・許容される政党、されない政党  国民行動党(PAN)、人民党(PP)、メキシコ正統革命党(PARM)を許容  反主流派革命派閥、急進的政党を弾圧・解体 →公式政党の勝利が保障された半競合的政党システム 2.カルデナス後の革命国家:開発路線 □ 新たな目標としての経済開発 ・アビラ=カマチョ政権(1940~46年)による再調整  政策決定への企業団体の組込み ・「輸入代替工業化」戦略の採用  外資を規制 *40年政令:合弁会社の外国人の株式保有率は50%以下  国家主導の開発 ・アレマン政権(1946~52年)が開発路線を本格化 →安定的経済成長:「メキシコの奇跡」  1968年メキシコオリンピック開催 →コーポラティズム構造を通じた富の(選択的)配分 □ 経済開発の効果 ・農業・鉱業国から工業国へ ・急速な都市化 ・中間層の増大 →PRI一般部会・CNOP(人民組織国民連合)の勢力拡大 ・平均寿命の上昇 ・識字率の向上 ・社会構造の歪み  1968年政治危機(トラテロルコ事件) 3.まとめ □ 権威主義体制としての革命後体制(J・リンスの定義に沿って) ①限定的多元主義  政党政治はヘゲモニー政党システム、利益政治は国家コーポラティズム ②体制理念  革命の諸原則(反個人独裁、社会改革、民族主義、反教権)  革命後の目標としての開発 ③非動員傾向  政治参加の抑制、体制拒否的批判の封じ込め  マスメディアによる国民の非政治化 →一党支配型の権威主義体制 □ 体制安定化の理由 ・党を基盤とした支配層の一体性 ・軍の非政治化 ・権威主義的諸制度の確立(利益政治、政党政治) ・体制理念の実現 ・指導者(歴代大統領)のバランス感覚