応用数学I・情報数学特論講義日記講義日記



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この授業は、理工学部数学科「応用数学I」・ 大学院理工学研究科理工学専攻情報学領域「情報数学特論」の合併講義である。 形式的には大学院理工学研究科数学専攻が残っているので、 数学専攻「応用数学特別講義I」との合併でもあるが、 事実上は履修する学生がいないので、履修登録者なしで開講中止となる予定。 ここでは省くことにする。

という訳で、誰がどれくらい来るのか、取り敢えずアンケートを書いてもらう。 数学科の学部生が7名、大学院生の数学領域が5名(学部生の先取り履修を含む)、 情報学領域が14名(出身は物理系が2名で後は電気電子系)。 数学系の学生・院生が情報系の数学をどれくらい習っているかは大体判るが、 情報系の大学院生が学部時代にどれくらいのことを習っているのかが判らないので、 手探り状態であるが、この人数比だと有限体などの抽象代数について、 かなり補いつつ進まないといけないかな。 昨年は情報学領域の科目と言いつつ、最終的には数学系の人しか残らなかったので、 今年はもう少し配慮しましょう。

授業内容の予定は、 情報理論・符号理論・暗号理論の入門までと、その土台となる基礎数理で、 「情報通信の数理とそれを支える数学」が通しのテーマ。 本講義ではそれぞれを概観する程度(入門まで)ということにしたい。 必要性が明らかになった所で数学の内容を入れていく方針に。

まづは全体の概説。効率的に・確実に・安全に、という3つの要請に対応して、 情報理論・符号理論・暗号理論を扱う、と。 最後に少しだけ情報理論(情報源符号化)の話の導入。 ASCII codeやモールス符号(Morse code)を例として紹介して終わり。

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情報理論(情報源符号化)。 モールス符号は文字間・単語間の間隔も定められているので、 実は3元符号(−・○)であるとか。 間隔(○)も"文字"(符号alphabet)と見るべき、とか、 そういう定式化の部分てのは、ものの見方として強調したい所ではある。

基本的な定式化に入る。 まだ生起確率が絡む話はせず、組合せ的な議論の所を先に。一意符号・瞬時符号。 数学科・数学領域以外の人もいるので、数式・記号で表していく所はゆっくり目に。 符号語木の話に駆け込んで終わり。 前半で時間を掛け過ぎて予定ほどは進まなかった。 符号語木の後のKraftの不等式くらいまでは説明したかったんだが。 今週は全部の授業が予定より遅かったな。復習は程々に。

情報源符号化の話が一段落した所で、一回アンケートでも取ろうかな。 聴いたことのある話と重複しているか、数式で記述する部分は理解できたか、など。

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先週の反省を基に、復習はさっと流すが、 符号語木の話は駆け込みだったので、この辺りから。 瞬時符号(語頭符号)かどうかは符号語木に特徴が表れるので、 Kraftの不等式は符号語木を見れば判るよね、と。 McMillanの不等式では「母関数」の手法の紹介。 これは数学の人にも良いでしょう。

生起確率まで込めた情報源の定式化。 符号化を考える対象をalphabetの集合とそれ上の確率分布との組として定式化する、 というのはどれくらい馴染み易いんでしょうか。 Huffman符号の紹介。生起確率から符号語木を構成することによって符号を作る。 2値情報源の時はどう頑張っても符号長1か、ってんで、拡大情報源の話。 拡大情報源の確率分布を何気なくP^{\otimes 2}と書いているけど、 通じているんだろうか。 で、駆け込みだが、 拡大情報源のHuffman符号化を考えると一文字当たりの平均符号長はどうなるか、 という演習問題を、とにかく配って連休の宿題とした。 次回の授業の時に板書しておいてもらえると良いかな。