「この問題は計算機でも計算できないなぁ」 「君は実に…計算が下手なんだなぁ」 「そうじゃなくて計算できないことが証明できるんだよ」 「え?どゆこと?」
「計算」とは何か、「計算できるか/できないか」というような問いに対して、 数学では、「計算機が行なうこと」を「計算」と考え、 計算機が行なえることを「計算モデル」として定式化することによって 「計算」を定義し、明確に答えることを可能にしてきた。 本講義では、代表的な計算モデルを取り上げながら、 計算の理論・アルゴリズムの概念・計算量の理論の初歩を紹介し、 計算の可能性・効率について論ずると共に、 具体的な例として幾つかの基礎的な数理アルゴリズムについて触れる。
一変数の場合を中心に、微分積分など数学に於ける解析的手法を扱う。 高校までの「等式の数学」で余り触れられない「不等式による評価」の話から始めて、 Taylor展開の理論を大きなテーマとし、 極限・収束・無限和・微分・積分・近似計算などを関連付けて講義する。 高校までで学んだ知識も活用する一方、それらのより確かな基礎付けも与える。 問題演習や多くの例を通じて理論的な事項を実感すると共に、 将来出会う様々な実例に馴染んでもらいたい。 この科目は、多変数の微積分(数学BII)・微分方程式・複素関数論・フーリエ解析など 引き続いて学ぶ数学の基礎としてだけでなく、 物理学・工学等の理工系のあらゆる科目の基礎として重要である。
「数学AI(線型代数)」と「数学BI(微分積分)」の講義内容に対応する演習の授業であり、 授業は 「線型代数演習」と「微分積分演習」を交互に(隔週で)行なう。 毎回の授業では演習プリントを配布して、授業終了時に提出する。 数学分野において自分で実際に計算することは、諸科学の実験に相当する営みであり、 対象に馴染み理解を深めるために必要不可欠である。
この中から、「微分積分演習」の7回(隔週)を担当する。 ここで配布する演習問題も 数学BI(微分積分)(情報理工学科クラス) の頁に掲載しておく予定。
現代社会において、スマートデバイスが普及し、多くの情報を活用できるが、 これらを裏で支える様々な技術が存在する。 本講義では、工学の観点から、情報システム、暗号化に使われている数理技術、 次世代送電網や情報通信のセキュリティ、自動認識など情報技術の基礎知識を扱う。 また、情報を扱う電子的な機器だけでなく、我々人間自身も情報を処理している。 このような理学の生物的観点から脳や細胞の情報的側面についても扱う。 本講義は、情報理工学科の教員が輪講形式で講義する。
この中から、2回を担当し、 情報化社会での安全な情報通信を支える数理技術の中から、 秘密分散・暗号通信・電子認証などについて、 その基本的な仕組み・活用・裏付けとなる基礎数理を、実習を交えて紹介する。
代数学・整数論などの話題の中から、学部の授業では到達しないが、 大学院生としては知っているべき基本的な内容を選んで講義する。 内容は受講生の希望や予備知識などを踏まえて決めるが、 加群のホモロジー代数・代数的整数論・代数幾何などの基本事項や 構成的ガロア理論の話題を予定している。
技術開発やその利用を行う理工系の人間にとって、 技術を便利に利用して仕事や生活を効率化するだけではなく、 環境や生命を守り、安全に配慮し、倫理をわきまえるように、 技術の開発・利用を行うことが重要である。 本講義では、人間情報・情報通信・社会情報・数理情報の担当教員が、 それぞれが担当する分野について環境・生命・安全・倫理の観点から 関係する基礎知識を輪講形式で講義する。
この中から、2回を担当し、 情報化社会での安全な情報通信を支える数理技術の中から、 秘密分散・誤り訂正符号・暗号通信・電子認証などについて、 その基本的な仕組み・活用・裏付けとなる基礎数理を、実習を交えて紹介する。
小学校の算数以来馴染みの深い「数」、とりわけ「整数」の振舞いについて、 様々な奥深い現象を紹介する。 剰余と合同式、ユークリッドの互除法による最大公約数の計算法、 連分数展開、方程式の解法理論の歴史、素数の概念の意義と見直しなどの話題に加え、 暗号など近年の情報化社会における応用などを通じて、 数理現象の探求が数理技術として活用されている様子にも触れる。 高校の「数学II・数学B」程度の予備知識を想定する。
「0.999…って大体1だよね。」 「大体ってなんだよ。ちょうど1だよ。」 「え?そうなの?」
実数全体の集合Rは多くの数学的現象の基本的な場であり、 ただ数が集まった集合であるだけでなく、 四則演算が出来るという代数構造、 大きい/小さいという順序構造、 近い/遠い・収束・極限という距離・位相構造を備えていることが重要である。 本講義の前半では、 より基本的な数である自然数から実数を構成する道筋を辿ることで 実数の基礎付けを行ない、 後半では、実数の基本的な構造の中でも特に距離・位相構造に焦点を当てて、 幾何学・解析学が展開する場としての実数の基本性質を講義する。 集合・写像・同値関係などの用語を用いるので、 「現代数学A」(或いはそれに準じる科目)を学んでいることが望ましい。