ディスタンス Distance

読んで字のごとく、飛行距離を競う競技です。爆発的なパワーと繊細なディスクコントロールが要求される種目です。
確かに力があればある程度飛びます。でも力だけではなくテクニックの有無で距離は大きく変化します。
競技会では決められたスローイングサイトから2分30秒以内に5投し、最長飛行距離を測定します。
→ つまり野球で言えば軽く場外ホームランの距離。どれぐらいか想像できますか!?

  Men Women
世界記録  250.00m (Christian Sandstrom:2002)  138.56m (Jennifer Griffin:2000)
日本記録  177.50m (大内勝利:1997)  114.65m (酒井唯加:1997)


 アキュラシー Accuracy

スローの正確性を競う競技です。
地上1mにある一辺1.5mの正方形のゴール(下図左)をディスクが何投通過するかを競います。
正面から3ヶ所(13.5m、22.5m、31.5m)、左と右にそれぞれ約20度の角度で2ヶ所(13.5m、22.5m)の計7ヶ所あるサイト(下図右)から、ディスクを各4投(計28投)します。
実際の競技では、この通りのサイトを作ると場所をとるため、下図右横Aのようにターゲットを動かし角度をつけて行う(この場合は左側のステーションから投げていることになる)ことも多いです。
正式には13.5mのサイトからゴールの延長線上に垂線を引き、その距離が4.5mになるところにサイトを設定します。
アキュラシーゴール

→ 現在世界記録はオープンの28投中25投。パーフェクトを出せば絶対に名前が史上に残る数少ない種目かもしれません。日本記録が女性ということからも力ではない種目だとわかるでしょう。誰でも世界記録が狙える唯一の競技かも?

  Men Women
世界記録
 25投(Mike Cloyes:1991)
 19投(小松ゆかり:2003)
日本記録  18投(大島寛:1988,大内勝利:1991)  19投(小松ゆかり:2003)


 ディスカソン Discathon

ディスク+マラソンの造語から名前の付いたディスカソン。その名の通りディスク版のマラソン(どちらかというとクロスカントリーラン)です。アップダウンがあり樹木や草地のある1〜1.5kmほどのコースに、20〜30ヶ所の通過ポイントをつくり、2枚のディスクを交互に投げながらポイントを早く通過してゴールを競う競技です。
1枚のディスクを投げて落ちたところまで走り、そのディスクの場所からもう1枚を投げ、足元のディスクを拾って次にといった具合に「投げて拾って走る」ことを繰り返します。また途中にテスト(決められたところにスローする)があり、成功するとコースをショートカットすることができます。ですから、ここで順位が逆転する事もあって面白いです。スロー力、走力、持久力が要求される競技で、1989年にイギリスで行われた世界個人総合選手権大会で日本女性が優勝したこともあります。
→ 持久力とスロー力が要求されるので、はっきり言ってきついです。でも、テストやコース取りで駆け引きがあるのでそのあたりが非常に面白いです。



 MTA(エムティーエー) Maximum Time Aloft

ディスクを投げてから片手でキャッチするまでの滞空時間を競う競技です。
→ なんでもいいから身近なものを投げ上げて、キャッチするまでの時間を計ってみて下さい。
 意外に短いのにビックリしますよ。10秒以上ってどんな世界…
  Men Women
世界記録
 16"42 (Dom Cain:1984)
 11"81 (Amy Bekken:1991)
日本記録  15"30 (大島寛:1992)  10"69 (酒井唯加:1998)


 TRC(ティーアールシー) Throw, Run and Catch)

投げたディスクをキャッチ地点までの移動距離を競う競技です。直径4mのサークル内から投げたディスクをできるだけ遠くでキャッチするため、MTA以上にスローテクニックや走力が要求される種目です。
風上に投げたディスクが、うまく自分のところに戻ってきたときにはそれはもう感激。
ただし記録を狙おうとすると、これがなかなか…
  Men Women
世界記録
 94.00m (Christian Sandstrom(SWE):2003)
 60.02m (Judy Horowise:1985)
日本記録  92.64m (大島寛:1988)  51.33m (羽深陽子:1991)


 ディスクゴルフ Disc Golf

チェーンのついた専用のゴール(ポールホール)にティーから何投で入れられるかその投数を競う、ディスク版ゴルフです。競技規則はボールゴルフと類似しており、子供から老人まで幅広い年齢層で楽しめます。アメリカで400以上の専用コースがあり日本でも40以上のコースが常設されています。個人種目で一番愛好者が多いのもこの種目です。
 普通のゴルフと同じくちゃんと18ホールがあり、OBやウォーターハザードなどもあります。(ただし条件で9ホールや池がないところもありますが)コースには樹木や草地などの障害物があるため、それらを避けていかにゴールするかといった、テクニックとスロー力が問われる競技です。
 投げるディスクにも「ドライバー用」「パット用」などがあり、トップの選手になると風向きやコース取りで何枚ものディスクを使い分けてプレイします。毎年に東京の立川市、昭島市にある国営昭和記念公園で、外国人招待選手を招いた大きな大会が開催されています。また誰でも参加できるワールドビゲストといった国際的なイベントも開かれています。

→高齢者のプレーヤーが孫にあたる小学生に指導などをしたり、3世代にわたってプレーできる競技でもあります。ハンデをもうければ誰でも競えるし、ゴルフと一緒で力だけではないので、大会で高齢者が若者に勝つシーンもあります。
トップレベルの人たちはもうびっくりするようなティースローやロングパットを見せてくれます。

 フリースタイル Free Style

ディスクを爪の上で回したりしながらコントロールし、音楽に合わせて演技をするディスク版新体操演技といったところでしょうか。規定時間内に投げたりキャッチしたり、爪の上でディスクを回す「ネイルディレイ」、指先など身体の一部でディスクをとんとん突き上げる「ティップ」、右手から左手に身体の上を転がるようにディスクを送る「ボディロール」など様々なテクニックを使い、その「難易度、表現力、完成度」の3要素について競います。

→この競技では過去に多くの優秀な選手が日本から世界大会に出場していました。でも、このところちょっと低迷気味。 フライングディスクと聞くと多くの人たちはこのフリースタイルか、犬がディスクをくわえるイメージが強いみたいですね。

 DDC(ディーディーシー) Double Disc Court

ダブル・ディスク・コート、頭文字をつないで「ディー・ディー・シー」と呼ばれています。17m離れた、一辺が13mの正方形のコート2面に、2人1組の2チームが分かれ、2枚のディスクを相手コートに投げ合い得点を競う競技です。テニスのダブルスに雰囲気は似ているかもしれません。(なぜか2人1組で行うのに個人競技として扱われています)
 相手の投げたディスクが正方形の外(アウト・オブ・バウンズ)に出た場合は1点、相手が2枚のディスクを同時に持った場合は2点を獲得します。5点ごとにコートをチェンジし、予選は21点1ゲーム制、決勝は15点5ゲーム制で行います。
DDCコート
 →それぞれのコートに2人がはいります。先攻のチームの合図で両チームが相手のコートにディスクが入るようにスローします。最初は大体どちらのチームもコートにスローが入るので、それを落とさないようにキャッチ。今度は先攻のチームがスローをするのを待って後攻が攻めます。 先攻からのスローをぎりぎりまで待った後攻側が、ディスクを滞空時間のあるようにスローをします。そしてキャッチしたばかりのディスクを、先に投げたディスクが相手にキャッチされるタイミングに合わせてスローするとします。うまくそのタイミングが合えば相手が同時に2枚ディスクを持つ事になり2点取る事ができます。しかし焦ってスローがコート外にでてしまったり、タイミングが合わないと同じ事を相手から仕掛けられるといった具合に、それはもう駆け引きとスローテクニックが物言うゲームなんです。ちょっと文章ではその面白さは伝えられないのが残念。


 アルティメット Ultimate

アルティメットは10種目あるフライングディスクの競技の一つです。このゲームは今、大学生を中心にそして卒業生が作った社会人チームが増えつつあり、全国で50以上のチームがプレイを楽しんでいます。
1992年には宇都宮で世界大会があり日本女子チームが世界チャンピオンになりました。1996年の世界大会(スウェーデン)ではオープンで4位、レディースが3位と好成績を納めました。1998年に行われたWFDF世界アルティメット選手権大会ではオープン、レディースとも決勝に進み、アベックで準優勝という快挙を成し遂げました。

【簡単な歴史】
アルティメットは1968年にアメリカのコロンビアハイスクールの生徒会の学生がフリスビーを使ったフットボールゲームを考えたのが始まりだそうです。
そのとき練習していた駐車場が110m×37mの大きさだったのでコートの大きさがこの長さになったんだとか。


【コート】
アルティメットはフライングディスク競技の中でも一番人数の多い1チーム7名で行うチームスポーツです。
コートは縦が100m幅が37mのサッカーコートを細長くしたような大きさのコートで行います。(イメージはアメリカンフットボールのコートを細長くした感じ下図参照)
 コートはサイドライン、エンドライン、ゴールラインからなり、その3つのラインで囲まれたエリアを「エンドゾーン」と呼びます。
 そしてゴールライン間を「プレイングゾーン」と呼びます。
 コート中央にはブリックポイントと呼ばれるマークがあります。
【どんな競技?】
 この競技はボールではなくフライングディスクを使うところに特徴があります。ボールとは違う飛行特性を使い、大きなカーブスローや地面すれすれから浮き上がるスローなどを駆使し、味方同士でパスをつないでいきます。自分たちの攻めるエンドゾーン内で味方からのパスをキャッチするとポイントになります。オフェンスは、ミスをせずに味方にパスを回して攻めていけば得点できるわけですが、ディスクを持ったオフェンスは歩くことができません。許されるのは、バスケットボールのようにピボットだけです。特にサッカーのオフサイドのようなものはないので、50m以上のロングパスやシュートがあります。あと10秒以上ディスクを保持できない(つまり投げないといけない)というルールもあります。
 しかし、ディフェンスもただ見ているわけにいかないので、そのパスをカットしたり、オフェンスのスローミスやキャッチミスを誘うようにプレッシャーをかけます。ただし身体接触が認められないのでタックルとかはありません。マークしたオフェンスにぴったりついて隙あらばパスカットをねらいます。(この感じはバスケットボールに近いかもしれません。)
まあ、他に得点ごとにサイドチェンジするとか、ピック(走路妨害)やファール(主に身体接触)といったルールがありますが専門的になるので別の機会に…

→10種目の中では一番運動量があるゲームでしょう。(アメリカの論文で最大心拍数が88%にまであがることが報告されています。)いろいろなオフェンス、ディフェンスのフォーメーション、多彩なスローを駆使したプレーは、今までのボールスポーツには無い魅力を感じるはずです。百聞は一見にしかず。

 ガッツ Guts

対面した5人ずつの2チームが、ディスクを交互に投げ合い、キャッチングを競う競技です。
オフェンス側はスローワーがファールラインを超えないようにディフェンス側に、バックハンドスロー、サムフリップスロー、サイドアームスロー、ピンチグリップスローなどいろんな投げ方で14m離れたスコアリングゾーン(下図黄色部分:それぞれのプレイヤーが手を挙げた高さと広げた幅で構成される空間)に投げこみます。
ディフェンス側はスローされたディスクを片手でキャッチします。ダイレクトでキャッチできると「クリーンキャッチ」と呼ばれます。一度でキャッチできなくても、落とさないように全員でディスクをトスし(ボブリング)、最終的に片手でキャッチできえればキャッチとみなされます。
ディフェンスがキャッチできなかった時にオフェンス側にポイントが入ります。ただしスローがディフェンス5人の手の届かないところ(図の黄色以外のエリア)を通過したときや、ディフェンス側のファールラインに届かなかった場合(ショートスロー)などは、ディフェンスチームにポイントが入るので、スピードだけではなくとコントロールも要求されます。キャッチが成立した場合にはノーカウントで点数はカウントされません。
 フライングディスク・スポーツで最初に考案された公式競技です。

ガッツコート

→ まあ簡単に言うとドッヂボールのディスク版って感じでしょうか。キャッチミスをすると1点取られ、スローミスすると相手に1点取られます。キャッチ(片手でないとダメ)できるとそのままカウントは動きません。ディスクの最高スピード記録が152km/hなので、トップクラスの試合では、かなりのスピードでのディスクの攻防が見られます。まさに「ガッツ!」勇気のいるゲームです。


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