解析力学       <<<戻る

2017年 担当、後藤貴行、春学期・木曜一限・11−405

何を学ぶか

これまで学んだニュートン運動方程式を使えば、微分方程式(=数学)さえ出来れば、ロボットでもスペースシャトルでも回転寿司の回る台でも、日常におけるすべての運動の問題が解けます。しかし、現代社会においてニュートン力学を適用出来ないケースが三つ存在します。それは、

  1. 粒子の数がとてつもなく多い場合
  2. 粒子がとてつもなく小さい場合
  3. 粒子の速度がとてつもなく速い場合

の場合です。現代社会を支える、金属(超伝導体を含む)、半導体の中の電子は12にあてはまりますし、光通信やレーザーに登場する光子は2と3です。光を操作したり検知するデバイスを作るには1-3の全てが必要です。それから、未だに殆ど解明されていない現象の代表例として、摩擦があります。表面がつるつるしていれば良いかと言うとそうではなく、原子レベルで平坦な金属を貼り合わせると滑るどころかくっついて離れません。これを理解するのにも12が必要です。

実は、1と2を理解するための科目は、「統計力学」と、「量子力学」と言って、これから先、どんどん習って行くわけですが、その準備をするための講義が解析力学です。

※ 3は「相対論」です。残念ながら、本講義では深く取り扱うことはしません。


講義進捗状況

※LOYOLAにレポート問題をアップロード。やってみてね。質問も受け付け中。

  1. 〔4/14〕 変分法。二点間を最短距離で結ぶ「曲線」を求める。

  2. 〔4/21〕 ラグランジュの未定乗数法。束縛条件のついた極値問題。変分にも微分にも使う。

  3. 〔4/28〕 最小作用の原理。この世の運動は作用積分∫Ldt が最小になるように起こる。
                   光は所要時間が最小になるように進む(フェルマーの原理)、と言う話と似ている。

  4. 〔5/11〕 いろいろな系のラグランジアンを書いて、オイラー・ラグランジュ方程式に代入してみよう。

  5. 〔5/18〕 オイラーラグランジュ方程式

  6. 〔5/25〕 対称性と保存量

  7. 〔6/01〕 空間反転対称性(パリティ)「神は左利きだった?」

  8. 〔6/08〕 ルジャンドル変換(熱力学にも使える!)

  9. 〔6/15〕 複数の質点の振動、規準座標

  10. 〔6/22〕 トルク方程式と磁場中スピンの歳差運動

  11. 〔6/29〕 レポート

  12. 〔7/06〕 位相空間、リウヴィユ(リウビル)の定理、等重率の原理

  13. 〔7/13〕 ポワンカレの再帰定理

  14. 〔7/20〕 試験(無事終了)


 試験

2017年度の試験問題(満点二名)

2016年度の試験問題

2015年度試験問題

※2014の過去問(、問題流出により三回実施するはめに、、、)、2013年の過去問2012年の過去問

(その他の年度の過去問は、「講義・学生実験、試験問題、Q&A集など (1998年度〜現在)〜上智大学学生専用のページへ
で、講義名「解析力学」や「機能創造理工学U」を検索して見て下さい。)

※通常の予想問題
ラグランジアンとハミルトニアン、位相空間、断熱不変量、座標変換、対称性、保存量、正準変換、etc.
いわゆる力学(=機械工学的な)の問題は出ません。


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