○質問
熱膨張の原因が理解できて良かった。
非線型項の効果で二つの波が重なるときになぜ新たな波が発生することがあるのか。
似た話としては、光の進路についてのフェルマーの定理があります。要するに光は、最短時間で済む
ような経路を進むということですが、式で書くと、n(x)を場所xの屈折率,dsを微小長さとして、
∫n(x)dsが最小になるということで、最小作用の原理とよく似ています。
もしポテンシャルが存在しない場合はもちろん、等速直線運動をします。これがもし、等速直線運動
から少しずれたとすると、
∫[v+δv(t)]2dt=∫v2+2vδv(t)+δv(t)2dt=∫v2+δv(t)2dt
> ∫v2dt
と作用積分は必ず大きくなってしまします。(∴終点距離は固定とするのですから∫δv(t)dt=0
です)。
ですから、たとえポテンシャルが存在する場合でも「質点は等速直線運動をしたい」のが本音です。
しかし、無理矢理、等速直線運動をしてしまうとポテンシャルの項∫U(t)dtが効いてきて、作用積分
が大きくなってしまう可能性が出てきます。よって、Uの小さな所はさっと通り過ぎ、Uの大きなところ
に長く滞在するような運動にすることで、S=∫T-Udtを最小にするのです。
なんだか、速さ(運動エネルギー)と浮き沈み(ポテンシャル)の兼ね合いで、運動が決まる、
というのは人生の縮図と対応しているような気がしてきますが、実際、大昔の物理学者で、
最小作用の原理とキリスト教の神学とを結び付けようとした人もいたそうです。
よろしい。秘訣を披露いたしましょう。
微分方程式を、x'+ax=f(t) とすると、f(t)=0の場合の一般解は、Aを任意定数として、
x(t)=Aexp(-at) となります。
f(t)≠0の場合、まず、その一般解にf(t)をそのまま加えて代入して微分方程式に代入してみます。
そして、右辺と等しくなるように、加えたf(t)を定数倍したり、別の項をさらに加えたりしてみるのです。
具体例を挙げると、
ともかく定数をx(t)に加えてみると、左辺の第一項では微分されて消えてしまいます。第二項は、
a倍されてしまいますから、加える定数をC/aとしておけば右辺と一致することがわかります。よって、
特解:x=C/a です。
これもともかくそのままbtを加えてみると、
x'+ax=(bt)'+a(bt)=b+abt
ですから、右辺のbtと一致しません。そこで、まず、
1) btではなく、bt/aとしてみると、
x'+ax=(bt/a)'+a(bt/a)=b/a+bt
となって、二項目が、右辺と一致してくれました。しかし、一項目のb/aが邪魔です。そこで、
2) 定数-b/a2をさらに加えてみます。定数ですから微分すると消えてしまいますから、
x'+ax=(bt/a -b/a2)'+a(bt/a
-b/a2)=b/a+bt-b/a=bt
と、無事に右辺と一致します。よって、
特解: x=bt/a-b/a2
微分して三角関数が出るのは三角関数しかありません。それも同じ振動数に限ります。
logでもexpでも楕円関数でも絶対にダメで、とにかく、三角関数だけです。よって、BcosΩt+CsinΩt
を加えてみます。すると、
-BΩsinΩt+CΩcosΩt+aBcosΩt+aCsinΩt = (-BΩ+aC)sinΩt + (CΩ+aB)cosΩt
となりますから、右辺と一致させるためには、
-BΩ+aC=A および CΩ+aB=0
とすればよいことがわかります。整理すると、
∴C=-aB/Ω より、-BΩ-a2B/Ω=-B・(Ω+a2/Ω)=A
となり、
特解: x=BcosΩt+CsinΩt、但し、B=-AΩ/(a2+Ω2)、C=-aA/(a2+Ω2)
ルール1)
べき次数別の和の形に整理して、何次まで残すか決める。
べきになっていない場合はテイラー展開します
例) ω=ω0+εω(1) でεが微少量の場合、
εの一次まで残す場合は、たとえば、
ω2=ω02+2ω0ε+ε2[ω(1)]2≒ω02+2ω0ε
と近似します。
べきでない場合は、たとえば、
cosωt=cos((ω0+εω(1))t)
= cosω0t・cosεω(1)t−sinω0t・sinεω(1)t
≒cosω0t・(1-[εω(1)t]2/2)
−sinω0t・εω(1)t
≒cosω0t
−sinω0t・εω(1)t
となりますが、これにεをかけたεcosωtでは、あくまで1次まで取ることを考えると、
εcosωt=εcosω0t
−sinω0t・ε2ω(1)t≒εcosω0t
となります。このように、項全体の係数がどうなっているかもきちんと考えなければなりません。
ぜひ、自分でグラフを作ってみて下さい。
sin(x)+0.3・sin(6・x)ぐらいが見やすいと思います。
電卓を片手に方眼紙に書き込んでもいいですし、パソコンを使って、ExcelやGnuplot、Sma4winなどのグラフを作成できるソフトウェアで描いて見るのが良いでしょう。この程度のことであれば、
計算機室のTAは、鼻歌まじりでやり方を教えてくれるはずです。関数のグラフがどのよう
な形になるか、さっとパソコンで計算できる技術は物理学科の学生として必須です。
線型方程式とは、
x"(t)+bx'(t)+cx(t)=0
のように、xの1次式のみを含んだ形をしています(x2やx3,x'x,sin(x')などは含みません)。
このような方程式に、二つの解xAおよびxBがあったとすると、
xA"(t)+bxA'(t)+cxA(t)=0,
xB"(t)+bxB'(t)+cxB(t)=0
が成り立つはずです(解なのですから)。すると、その和xA+xBについても、
(xA+xB)"+b(xA+xB)'+c(xA+xB)=xA"(t)+bxA'(t)+cxA(t)+xB"(t)+bxB'(t)+cxB(t)=0+0
と、解になることがわかります。これはあたりまえです。次に、
非線型方程式の場合は、
x"(t)+bx'(t)*x(t)+cx(t)2=0
あるいは、x"(t)3+x(t)=0
のように、xの二次以上のべきを含んでいます。一番簡単な例として、
x"(t)+bx'(t)+cx(t)2=0
を考えましょう。先ほどの、x
の項だけを自乗したものです。これに対する二つの解をxAとxBとすると、
xA"(t)+bxA'(t)+cxA(t)2=0,
xB"(t)+bxB'(t)+cxB(t)2=0
が成り立ちます。しかし、その和xA+xBについては(ここが肝心)、
(xA+xB)"+b(xA+xB)'+c(xA+xB)2=xA"+bxA'+cxA2+xB"+bxB'+cxB2+2cxAxB=0+0+2cxAxB
となり、最後のクロスタームが残ってしまいますので、解にならないことがわかります。
この新たに現れた項を消して運動方程式を満たすために、どうしても新しい波が現れなければならないのです。
電磁波が伝わる「宇宙空間」の性質が、線型だからです。
よって、どんなに多くの電波が飛び交っても、重ね合わせの法則で、素通りしてくれます。このため、
受信する際に、共振回路を使って目的の周波数の電波を選別するだけで、ひとつの放送を受信
できるのです。
注)
共振回路の性能が悪いために、異なる周波数の電波が混じって来るのを、「混信」と言います。
これに対し、非線型回路(音声信号を取り出すための検波回路や、周波数変換回路など)ある
いは、増幅回路の非線型性に対して、異なる周波数の電波が混じって来るのを、「混変調」と
言います。両者は全く性質の異なる現象で、原因や対策も別です。
ex JFφRPA/7
OKです。いろいろな解き方で問題を解けるようにしておくのは大変重要です。
試験は手書きメモ持込可としますので、棒暗記は不要です。
全く計算を行うこと無しにいろいろな物理現象を予測・把握できるという極めて強力な手法です。この考え方を進めたものを「スケーリング」と言って、乱れを含んだ\物質の電気伝導を研究する際にも実際に使われています。
二次方程式から求められる振動数ωの二つの解が一致するときが、臨界減衰です。