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研究と専門分野

ボルン・オッペンハイマー近似の「破れ」よりもたらされる非断熱遷移現象を,理論的に扱う分野が専門になります。この分野が始まったのは歴史的にかなり古く,世界中の理論物理研究者たちが取り組んで来ています。その中で,世界的に有名な公式が「ランダウ・ツェナーの公式(Landau-Zener formula)」です。「 Landau-Zener formula 」とググるとWikipediaに説明が現れますが,”This article may be too technical for most readers to understand…”となり,難解な問題と理解されると思われます。一方,この公式をある日本人と中国人が解析的に解くことに成功します(Zhu-Nakamura formula)。しかし,海外の理論研究者たちは,その成果をなかなか認めず,いつも激論バトルへと進みます。(世界で誰が最初に解いたかと調べれば容易に誰か分かるのですが,政治的匂いがして嫌いです)  我々の研究室では,朱-中村公式(Zhu-Nakamura formula)を使うことにより,この非断熱現象をより正確かつ簡便に解き,溶液内非断熱現象やタンパク質内光異性化反応へ応用し,実験で観測された様々な現象を理論的に再現すると共に予測を行っています。2015年に発表した論文は実験に先駆け,フォトクロミック分子の骨格となるシクロヘキサジエンの光異性化問題を定量的に予測しました。そして2018年に開催された国際会議にて,その予測が実験により実証され,とても嬉しかったです。実験研究者からは,もう実験をやる意味がないと言っていただけ嬉しいのですが,個人的にはいつも実験にて確認して欲しいと言っています。 非断熱遷移

最近の研究テーマ

  • 光化学(フォトクロミック,化学発光,そして溶液な光反応)
  • 例「免疫測定に係る化学発光反応ダイナミクスと発光効率の革新的最適化」
  • 細胞性粘菌の合成酵素に関するドッキングと分子動力学シミュレーション
  • カルビン回路に現れるルビスコ酵素内カルボキシル化反応に現れる炭素同位体比異常
  • 有機イオン性プラスチッククリスタルを用いた固体電気二重層キャパシタにおけるイオン伝導メカニズムの理論的解明
  • ルビスコ 受容体 凝縮相

    硫黄原子を含む古代大気循環モデル


    kasting