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この記録を論文等で参考資料としてご紹介くださるときは、以下のようにご記載ください。
岡知史(2009)『「当事者福祉論」とは何か:当事者の福祉活動への参加を支援する福祉学の可能性』日本社会福祉学会第57回全国大会
http://pweb.sophia.ac.jp/oka/papers/2009/sw/
![]() 今回は当事者福祉論とは何か、当事者の福祉活動への参加を支援する福祉学の可能性というテーマで発表させていただきます。 |
![]() 次に「当事者福祉論の必要性」ですね。なぜ、いま当事者福祉論を社会福祉学のひとつとして作り上げていく必要があるのか、ということを論じたいと思います。 そして「当事者福祉論の構成」ですね。当事者福祉論としてどういう内容を考えていくかということです。 さらに「当事者福祉論研究の争点」について述べ、 最後に「当事者福祉論の可能性」について述べたいと思います。
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![]() それから、ここでいう「当事者」とは、 社会福祉のある限定された継続的な課題を自己の生活に直接かかわるものとしてとらえ、それに取り組む人々 というように定義したいと考えています。 これは、一般的には障害者、患者、その家族などを意味します。
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![]() 従来、社会福祉の研究のなかで、当事者と呼んできた人々とは違うタイプの当事者がどんどん現れつつあると思うわけですね。 その特徴としては、まず、 「研究」し主張する当事者 ということですね。例としては、最近「当事者研究」というタイトルのついた本が、いくつか出版されています。 また、当事者学、患者学という言葉が、すでに当事者の側から出されてきているわけです。つまり自分たちで情報を集めて分析し、メディアを使って情報発信をして主張する当事者が出てきたわけですね。 もちろん、こういう当事者は従来からも、いらっしゃったわけですけれども、しかし、そういった人は、いままでは特別な人、例外的な人として扱われてきたのではないかと思うのですね。 しかし、いまはインターネットによる情報発信もあります。そして「当事者研究」とは言わないにしても、それに近いこと、すなわち自らの状況を分析し、そこで考えたことを主張するということをされている当事者が非常に増えてきたと思うわけですね。 ところが、 そういう「新しい当事者」の存在は、従来の社会福祉学では十分に想定されていない と思われるわけです。あいかわらず、当事者というと社会的弱者である、いつも社会福祉の援助を必要としていると、そういうように見ていることが、まだ多いと思うのですね。 そういう社会福祉のなかの当事者のイメージを変えるためにも、「当事者福祉論」を考え、「新しい当事者」を含む社会福祉学をつくっていく必要があるのではないかと考えたわけです。 それから、もうひとつの重要なこととして、 地域を超えた当事者のコミュニティの出現と、それに対応する社会福祉学の不在 ということがあると思います。 いままで、当事者が自らを組織化していって、社会的な影響力をもつというとき、それは地域福祉論、特に自治型の地域福祉論の枠の中で論じられてきたと思うのですが、 それは、当事者の組織化が地域社会のなかで行われたということに基づいているわけですね。 しかし、いまは、インターネットなど情報技術の発展によって、地域社会の枠を超えた当事者のコミュニティがつぎつぎと生まれているのは、ご存じのとおりです。たとえば、ブログを通じて人と人とが結びついたりしているわけですね。そういった地域社会の枠を超えた当事者の組織化といったことは、もう地域福祉論の枠のなかでは論じるのは難しいと思うわけですね。 要約すると、「新しい当事者」と呼ぶべき新しいタイプの当事者が、いまどんどん現れているということ。そして、地域社会の枠を超えたところで当事者の組織化が行われているということ。それを、当事者福祉論が必要であるという根拠としてあげさせていただきました。
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