近藤ゼミ 2023-2024年度

Sociolinguistics & Pragmatics
(社会言語学・語用論)
社会のなかの言語使用に関する研究

近藤佐智子 研究室:4208

〔概要〕

私たちは、住んでいる地域、文化、年齢、ジェンダー、職業といった様々な社会的要因によって、異なる話し方をします。また、場面や相手によって巧みに話し方を変えるということも日常的に行っているのです。このゼミでは、主に英語と日本語について、このような社会と言語のダイナミックな関係を社会言語学および語用論の観点から研究します。授業は学生の発表とディスカッション形式で進めます。


社会言語学とは 
(1) 国家、地域、民族、社会階級、性別、年代などの属性によってことなる特徴のある言語を話しますが、これを社会言語学では言語のバリエーションと呼びます。このような社会的グループと言語の関係を、音声、単語、文法、談話などの観点から研究します。

(2) また、私たちは会話の参加者、状況、話題などによって、異なる特徴のある言語を話します。例えば、親、友達、教師、に話すときには、相手にふさわしい言葉づかいをしますし、同じ友達に対してでも昼食を食べながら噂話をするときと、教室でのグループディスカッションをする時では異なるスタイルの話し方をします。このような刻々と変化する状況に合わせたダイナミックな言葉の使用についても研究します。

(3) その他、国の言語政策や言語教育政策についての研究、言語に対する態度や意識の研究、メディアの発する言語に表わされている差別的言語使用を批判的に分析するといった研究も含まれます。


語用論とは
(1) ことばの表面的意味ではなく、その背後にある話し手の意図に関する研究です。その意図を聞き手が理解するにはコンテキスト(誰に対して話しているのか、どのような状況か、どのような場所かなど)が重要です。例えば真夏にエアコンのよく効いた部屋で「寒いね」と言った場合、その意図は「エアコンの温度設定を上げてください」という「依頼」であることがあります。

(2) 依頼、断り、謝罪といった行為をことばを使ってどのように行っているのか、文化によってその行い方に違いがあるのかといったことを研究します。文化によって相手に失礼にならないような言葉上の配慮の仕方が異なる場合、思わぬ誤解につながることもあるのです。

研究テーマ (例)

地域による言語の違い     言語と社会階級    人種・民族による言語差   言語の性差      言語の年齢差    言語の状況差・適切さ  ことばによる丁寧表現    言語変化    会話分析    含意と文化       異文化間コミュニケーション    発話行為(断り、謝罪、誉め、依頼など) 言語に対する態度  言語習得 言語教育     非言語伝達  バイリンガリズム など

〔進め方〕

プレゼミナール(2023年度秋学期) 

プレゼミでは社会言語学と語用論の基礎知識をつけるために日本語で書かれた本を読みます。授業は学生の発表とディスカッション形式で進めます。発表担当の学生はレジメ(発表要旨)を準備し、それ以外の学生も毎週要旨を書いて提出します。レポート作成を通して文献研究の方法や引用方法を学びます。

【テキスト

『よくわかる社会言語学』 田中春美、田中幸子(著)ミネルヴァ書房

ゼミI
 (2024年度春学期)

ゼミⅠでは英語で書かれた入門書を読み社会文化的背景や社会心理学的観点から実際の言語使用についての知識を深めます。発表担当の学生はレジメ(発表要旨)を準備し、それ以外の学生も毎週日本語で要旨を書いて提出します。春学期の後半から各自研究テーマを決定し、文献収集をし、その成果を文献研究論文にします。

【テキスト John Edwards. 2013.  Very Short Introductions: Sociolinguistics. Oxford University Press.

田中典子『はじめての論文: 語用論的な視点で調査・研究する』(春風社)

論文を探す CiNii
文献を探す OPAC

夏季休暇中研究会(新型コロナの状況によって合宿またはオンラインで行うものです)

研究会では選んだテーマの先行研究論文の内容について発表し、研究計画を立てます。夏休みには、研究計画に沿ってアンケート調査、フィールドワーク、会話の録音などの手法で実際にデータを収集します。

ゼミII (2024年度秋学期)

秋学期はそれぞれの実証研究を進めていきます。自分で収集した言語データを分析し、結果を考察します。「本や論文にこれまでに書かれていることは本当にそうなのか?」自分の目で確かめることは学問の最もワクワクする活動です。12月にはパワーポイントを使って研究結果を順次発表し、学期末に「ゼミ論文」の形で提出します。授業は段階を追って確実にリサーチスキルと表現力が付くように進めていきます。

【テキスト】田中典子『はじめての論文: 語用論的な視点で調査・研究する』(春風社)

*「近藤ゼミ論文集」(16年分)は上智大学短期大学部図書館「近藤ゼミリザーブブック」にあります。図書館のカウンターで問い合わせてください。
  2014年度論文集目次   2015年度論文集目次    2016年度論文集目次   2018年度論文集目次  2019年度論文集目次

  2020年度論文集目次  2021年度論文集目次   2022年度論文集目次   2023年度論文集目次


近藤ゼミの「ゼミナール論文と最終発表」の様子(キャンパスレポート)リンク

〔将来どのように役立つか〕

国内外の大学に編入して言語学(英語学・日本語学)、異文化間コミュニケーション、社会学、メディア学などを学びたいと思っている人、英語や日本語教育、通訳や翻訳といった、言語と密接な関係がある職業に就くことを考えている人にとっては、このゼミで学んだ専門的内容を直接生かすことができるでしょう。企業への就職や言語とは直接関係のない学科への編入を考えている場合は、その分野での言語使用について研究することができます。

また、「読む」「調べる」「考える」「まとめる」「発表する」というリサーチスキルは、将来何をするにしても役立つでしょう。ゼミⅠでは毎週20ページほどの英語の文献を読んで全員が要約をするので、アカデミックな英語を読む力も伸びます。また、文献探し、データ収集、論文作成、パワーポイントを使用しての発表などを行いますので、その経験から培ったコミュニケーション能力を、企業に勤めても、どの分野に編入しても役立てることができるでしょう。

〔学生へのメッセージ〕

 近藤ゼミでは実際の会話、テレビ番組や映画の中の会話、スピーチ、漫画、マスメディア、SNS、文学作品などに使用されていることば、英語や日本語の学習者のことばを分析するなど、生の言語データを対象に実証研究をしています。ことばのおもしろさをゼミ生皆で味わい楽しみましょう。また、実証研究を完成させるまでには多大な努力が必要ですから、チャレンジ精神を持つ方を大歓迎します。社会言語学だけでなく第2言語習得や英語教育など、言語に関わる研究テーマを選ぶことができます。
 
 また、ゼミメンバー同士の親交を深めるために、親睦会や先輩ゼミ生との進路相談会などの機会を持ちます。お互いのことをよく知り、意見を交換し、助け合うことによって、より良い進路の選択につながることを願っています。

〔ゼミ生の主な進路先〕

就職 トヨタ自動車、いすゞ自動車、ソニー、富士通ISサービス、セイコーエプソン、HIS、小田急リゾーツ、丸井グループ、横浜銀行、八千代銀行、日本精工、日清食品、JAL、ANAエアサービス東京、ニューオータニ、ヒロセ電機、川崎信用金庫、城南信用金庫、パナソニック(株)エコソリューションズ、武蔵エンジニアリング、サカイ引越しセンター、イオンリテール、久世、APAグループ、ホテルグランヴィア、ベネッセスタイルケア、ステイズホテルマネジメント、理究キッズ など

編入 上智大学(英語学科、英文学科、社会学科、史学科、教育学科、心理学科、神学部、社会福祉学科、経済学科、看護学科、国際関係法学科)、千葉大学文学部国際言語文化学コース、東京外国語大学外国語学部英語専攻、奈良女子大学文学部言語文化学科、名古屋大学教育学部、中央大学経済学部経済学科、明治大学国際日本学部、東京女子大学現代文化学部言語文化学科、東京女子大学国際英語学科、富山大学人文学部人文学科、法政大学(社会学部メディア社会学科、キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科、文学部心理学科)、日本女子大学人間社会学部文化学科、南山大学(外国語学部英米学科、国際教養学部国際教養学科)、聖心女子大学(文学部英語英文科、心理学科)、清泉女子大学(英語英文学科、地球市民学科)、獨協大学外国語学部英語学科、津田塾大学英文学科、明治学院大学社会学部社会福祉学科、専修大学経済学部経済学科、学習院女子大学英語コミュニケーション学科、福島大学人間発達文化学類文化探求専攻、日本大学(法学部新聞学科、法学部法律学科、経済学部産業経営学科)、東洋英和女学院大学人間科学部人間科学科心理学専攻、サイバー大学、杏林大学外国語学部英語学科、神奈川大学外国語学部英語英文学科、杏林大学総合政策学部企業経営学科、東京経済大学コミュニケーション学部、大妻女子大学(人間関係学部社会学専攻、文学部コミュニケーション文化学科)、桜美林大学リベラルアーツ学群、実践女子大学文学部英文学科、東海大学観光学部観光学科、相模女子大学学芸学部メディア情報学科など