2000.11.30

発展途上国(第3世界)の貧困問題概説


<簡単に手に入るデータソースとしての参考文献>

1) UNDP(国連開発計画)のHuman Development Report(人間開発報告書)。毎年。

2)World Bank(世界銀行)のWorld Development Report(世界開発報告)。毎年。


<データ>

1)低所得

@People Living in Absolute Poverty1989 (Todaro, p43)

A国別貧困線以下の人々(1989-94):1999HDR、WDRより作製。

国別貧困線以下の人々(1989-94)
インド 52.5%(1日1ドル未満) 3億5千万人
中国 29.4%(1日1ドル未満) 3億5千万人
バングラディッシュ 48.0% 国別 6千万人
パキスタン 34.0% 国別 5千万人
(ザンビア) 86.0% 国別 8百万人
(全世界で13億人。23.8%)

2)世界の所得格差

B世界の経済格差1991(人間開発報告書1994p63図4.3)

C広がる富裕者と貧困者の格差1960と1991(人間開発報告書1994p35図2.6)


3)栄養失調・幼児死亡率・平均寿命

DPopulation with Consumption below Caloric Requirements, 1976 (Todaro, p44)

E一人1日あたり栄養供給量(必要量を下回る国)

一人1日あたり栄養供給量(必要量を下回る国)
地域・国 1992 1996
全世界 2,718 2,751
日本 2,903 2,905
アメリカ 3,732 3,642
ヨーロッパ 3,410
アフリカ 2,282
サハラ以南アフリカ 2,096 2,205
後開発途上国 2,095
先進国 3,377
インド 2,395 2,415
パキスタン 2,316 2,408
ニカラグア 2,296 2,328
スリランカ 2,275 2,263
フィリピン 2,258 2,356
スーダン 2,202 2,391
カンボジア 2,021 1,974
アンゴラ 1,840 1,983
ハイチ 1,707 1,855
※一日2390キロカロリー必要(ユニセフによる)。
HDR1999より作製。

F地域別低体重児の軌跡1985-95(ユニセフ世界子供白書1996)

GInfant Morality Rates in Selected Countries, 1992 (Todaro, p44)

H5歳未満児の死亡率の高い上位6カ国(1000人中、1997)(ユニセフ世界子供白書1999)

5歳未満児の死亡率の高い上位6カ国(1000人中、1997)
ニジェール 320
シエラレオネ 316
アンゴラ 292
アフガニスタン 257
マリ 239
リベリア 235
後発開発途上国 168
先進工業国 7

I平均寿命(HDR1999より)

平均寿命
1992 1997
アフガニスタン 43.4 45.5
ウガンダ 43.9 39.6
シエラレオネ 44.0 37.2
ギニア 44.4 46.5
ギニアビサオ 44.5 45.0
マラウイ 45.3 39.3
ガンビア 46.0 47.0
ザンビア 46.2 40.1
マリ 47.0 53.3
アンゴラ 47.4 46.5
ニジュール 47.5 48.5
ベナン 47.7 53.4
ソマリア 48.0 47.0
ルワンダ 48.1 40.5
エチオピア 48.1 43.3
モザンビーク 48.2 45.2
日本 78.6 80.0
先進国 74.6 77.7

4)教育・識字率

J成人識字率(HDR1999より)

成人識字率
1970 1992 1997
パキスタン 21% 36% 40.9%
インド 34% 50% 53.5%
ネパール 13% 27% 38.1%
サハラ南アフリカ 28% 51% 58.5%
途上国 46% 69% 71.4%
ニジュール 14.3%

5)人間開発指数

K人間開発指数1997(HDR1999より)

人間開発指数1997
人間開発指数
(カッコ内:ランキング順位)
一人あたりGDP
米国 0.927(3) 29,010
日本 0.924(4) 24,070
韓国 0.852(30) 13,590
タイ 0.753(67) 6,690
フィリピン 0.740(77) 3,520
ペルー 0.739(80) 4,680
スリランカ 0.721(90) 2,490
中国 0.701(98) 3,130
南アフリカ 0.695(101) 7,380
インド 0.545(132) 1,670
カンボジア 0.514(137) 1,290
パキスタン 0.508(138) 1,560
ネパール 0.463(144) 1,090
バングラディッシュ 0.440(150) 1,050
ウガンダ 0.404(158) 1,160
シエラレオネ 0.254(174) 410

L人間開発指数の問題点:HDR1990より

M各国の所得水準別にみた世界の労働力のセクター別分布A,B(1995WDR,p2)

 貧富の別を問わず、大部分の家庭では、労働収入が生活条件を決定する主要な因子となる。 世界全体で生産活動に従事している25億の人々のうち、14億人以上は低所得国(1993年 の一人当り年間所得が695ドル以下の国として定義される)に住んでいる。さらに別の6.6 億人が中所得国に住み、残りの約3.8億人が1993年の1人当り年間所得8,626ドル以 上の高所得国に住んでいる。これらの3つのカテゴリーに大別された諸国は、就業パターンを大 きく異にしている。低所得国では労働力の61%が農業に従事しており、彼らは主として家庭経 営の栽培農家である。22%は農村の非農業セクターと都市のインフォーマル・セクターで働い ている。賃金雇用契約を結んでいる者は15%で、主として都市の工業、サービス業の雇用者で ある。中所得国では農業従事者は29%であり、18%が農村の非農業セクターと都市のイン フォーマル・セクターの活動に従事し、46%が都市の工業とサービス業の賃金雇用者である。 高所得国では、労働者の大半がフォーマルセクターの職に就いている。農業従事者は4%程度で あり、27%が工業、60%がサービス業に従事している。失業者は、世界全体で約1.2億人 いる。低所得国の労働者は世界の農業労働力の圧倒的多数を占めている。しかし、それだけでは ない。低所得国は、世界の工業労働者の半数近く、失業者の約3分の1を占めている(図参照)。

NFlaction of the Labor Force in Agriculture(1996WDR)


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