2013年度 演習(国際政治経済論1,2)説明(2013/3/20暫定版)

2013年度ゼミ(演習:国際政治経済論1、2)希望者へ
 ※秋学期からの受講は、留学等で継続履修の場合以外は原則として認めませんのでご注意ください。

演習(国際政治経済論)は、大学全体のカリキュラムがセメスター制に移行ということで、形式上春学期の演習(国際政治経済論1)と秋学期の演習(国際政治経済論2)の半期ごとにわかれています。 しかしながら、この演習2つは、原則として連続して受講するもの、つまり通年のゼミとして考えますのでご注意ください。このため、秋学期の演習(国際政治経済論2)の受講は、 春学期の演習(国際政治経済論1)をその年かそれ以前に受講したものに限る予定ですので、ご注意ください。なお、このようにこの演習を通年のゼミとして私がみなしたい理由は以下の 2点です。

@演習(国際政治経済論2)においては、卒業論文またはゼミ論文またはそれに準じるもの(グループ研究の場合もあり)を仕上げることを要求するのですが、夏休み前にテーマの相談をし、夏休み中にその準備をしない限り 良質なものを作ることは難しいと思います。
A大学生活の一つとして、そしてその後の生活のためにもゼミとその仲間を大切にしていただきたいと思いますし、できればゼミ全体がコミュニティとなっていけたらと思います(これは私の大きな研究テーマである People's Processに通じるものです)。そのためには通年をかけて、互いの人間関係を深めていく必要があると考えています。

なお、ゼミとして成り立たせるためには経験上30人未満でないと難しいと考えます。そのために、もし人数が多い場合には、全体で30人未満にするために選考をさせていただきたいと思います。 そのため、下記の説明を読んで、まず自分のやりたいことと私のゼミが合っているかどうかをよく考えてください。その上で、ゼミに応募されたい方は、ゼミ志望書を下記の様式で準備し、初回のクラス(4月18日)に臨んでください。
⇒様式はこちら(Word)(PDF)

初回に出席して様子をみた結果、このゼミを希望するものはこれを提出してください。なお万一希望者(初回のゼミ出席者)が30名を超える場合はこの志望書と下記の基準を基に選抜を行います(当然、初回欠席のもの、またこの志望動機書を提出しなかったものは、 優先順位が落ち、受講できない場合があるので注意すること)。

1)過去に私の授業を受講したものを優先する(私の授業の中の優先順位は以下のとおり:@国際政治経済論1、2、A国際経済学1、2)。条件の同じ場合は、その際の成績 も考慮する。

2)国際政治経済論1、2を受講していない場合、優先順位が落ちることになるが、強く受講を望むものは、以下の文献のうち一つを読んで、3000字から4000字程度のブックレポート(要約と考察(場合によっては感想も)) を準備し、初回のゼミの日に提出すること。これがあれば、上記1)の@国際政治経済論1、2を受講した場合に近い扱いをする。



<ブックレポートのための文献>

[1]ホルヘ・アンソレーナ、伊従直子 (1992), 『スラムの環境・開発・生活誌』明石書店。

[2]パウロ・フレイレ(小沢有作他共訳) (1979), 『被抑圧者の教育学』亜紀書房。
  パウロ・フレイレ(三砂 ちづる 訳)(2011)、『被抑圧者の教育学ー新約』亜紀書房。
・古典的書物だが、途上国における教育支援、特に識字教育に関心がある人は是非読んで欲しい本。識字教育の原点はここ。

[3]幡谷則子、下川雅嗣 [編著](2008)『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』(地域立脚型グローバルスタディーズ叢書第3巻) 上智大学出版会。

[4]穂坂光彦 (1994), 『アジアの街わたしの住まい』明石書店。
・居住問題が中心テーマであるが、アジア各国のスラムでの人々の生活・取組の実情がよくわかる。

[5]ホルへ.アンソレーナ/伊従直子/内田雄造/穂坂光彦 (1987), 『居住へのたたかい』明石書店。

[6]パウロ・フレイレ(里見実訳) (2001), 『希望の教育学』太郎次郎社。
・いまある状態が、すべてではない。ものごとを変える、変えることができる、という意志と希望を失ったそのときに、教育は、被教育者にた いする非人間化の、抑圧と馴化の行為の手段になっていく。いまある所与の状態を引き受け、それを直視しつつ、誠実かつ老獪に「可能な夢」を模 索する教育思想家フレイレの晩年の主著(「BOOK」データベースより)

[7]青木秀男編著(2010)『ホームレス・スタディーズ:排除と包摂のリアリティ』ミネルヴァ書房。

注意

本ゼミは、木曜日5限となっているが、7時過ぎまで長引くことが多いのでその旨最初から留意しておくこと。また、クラス、クラスの準備、日々の研究、さ らには学生どうしの交流等、かなり積極的に参加する学生を望むのでその覚悟で臨んで欲しい。なお下記にある最終合宿は全員参加です。 また、このゼミではグループワークを大切にし、また場合によってはグループ研究を行う場合もあるので共同作業、共同研究を大事にしてみたいと思う学生を期待する。

内容

・国際政治経済諸問題をより深く理解する能力を育てる。春学期は毎週、または2週に一つくらいの割合でテーマを設定し、それについてのグループワークを行う。なお事前にそのテーマに関して必読 文献を指定するので各自はそれを読んでゼミに参加することが要求される。また毎回のグループワークと同時並行で、卒論執筆予定者は各自の研究、そしてそれ以外のものも 交換留学生以外は年度末の最終プロダクト(ゼミ論、グループ研究等)のための学習・研究をすることとなる。秋学期はその途中経過報告、研究結果を発表し討論することが中心となる予定。 またゼミ受講者は国際経済学1,2または国際政治経済論1・2(下川雅嗣担当)を既に履修済みか、併せて受講することが勧められる。
・過去のゼミでやった詳しい内容については、私のHPのゼミ(演習)の各年度の説明を参照のこと。
・過去のゼミ生の卒論・ゼミ論の要旨については、私のHPのゼミ(演習)の各年度のゼミ論・卒論要旨等を参照のこと。
・ゼミ論においては、個人研究だけでなくグループ研究・執筆を可とし、また最終成果も論文の形にこだわらず共同で何らかの実践を行い、その軌跡のレポートという形も最終成果として認めようと思っている。詳しくは初回クラスの時に話し合う予定。


春学期グループワークを行う際のテーマ

※日程はとりあえずの目安です。途中で順序が入れ替わったり、別なものが入る(秋学期にずれこむ)こともあるので、ゼミ生は休んだ場合等常にMLを注意したり、他のゼミ生に確認してください。 また、(必読)の文献は、事前に必ず読んでかつ、当日のディスカッションで分かち合うポイント(重要だと思うこと、印象に残ったこと、問題だと思うこと等)を簡潔にまとめておいてください。 なお、このまとめは箇条書きでよいですが、当日のゼミ後に提出してもらいます。推奨・参考文献も ディスカッションを深めるために、特にその分野に関心がある方は読んでおいてください。なお、推奨・参考文献は短いものだけでなく一冊の本等もあります。よってそれぞれのテーマの中で自分 の関心が強いテーマがあってより深く勉強したい方は、事前に図書館で借りたり購入したりして 読んでおけばよいのではないかと思います。また少なくとも1冊くらいは私の研究室にあるので、先着順で2週間ほどはお貸しすることが出来ると思います。なお(M)とあるものは、Moodleの演習(国際政治経済論)にアップしてあるものを意味します。早いうちにMoodleから文献等をダウンロードできるようにしておいてください。なお登録キーはゼミにてお知らせします。 ただし春学期のうち3,4回分は、下記の拙編著本の論文を使用しますので、これはテキストに指定したいとおもいます。

[テキスト]幡谷則子、下川雅嗣 [編著](2008)『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』(地域立脚型グローバルスタディーズ叢書第3巻) 上智大学出版会。 ⇒アマゾン

1) 4/18:イントロダクション

2)4/25: 貧困・開発・発展 
 (必読)1:下川「貧困者の現実、彼らの歩みとオルタナティブな発展―アジアの都市部の事例を中心にー」
    (完成版は村井吉敬、安野正士、David Wank [編著](2007)『グローバル社会のダイナミズム:理論と展望』(地域立脚型グローバルスタディーズ叢書第1巻)上智大学出版会、183-206。)
    (英訳:"People's Reality, People's Process and Alternative Developments in Urban Asia")
     2:下川 『Japanese Seed』
  (推奨)1:既履修者は下川の国際政治経済論2の授業を思い出しながら
     2:James Ferguson (Stanford University) "Decomposing Modernity: History and Hierarchy after Development" 
     (日本語訳完成版:「近代の神話の解体―進歩主義以後の時代における歴史と階層序列」は『グローバル社会のダイナミズム:理論と展望』(地域立脚型グローバルスタディーズ叢書第1巻)に収録)

3)5/2 :開発と紛争
 (必読)1:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』 「序 ―グローバル化と貧困、開発、紛争」(幡谷則子)
     2:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』 「グローバルな開発、ナショナルな開発そして紛争―インドネシアから考える」(村井吉敬)
     3:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』 「紛争と経済―コロンビアの国内避難民(IDP)問題をめぐるグローバル/ローカル・イニシアティブ」(幡谷則子)

4)5/9 :グローバルな援助・開発とローカルな民衆
 (必読)1:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』 「グローバル援助の問題と課題―スマトラ沖地震・津波復興援助の現場から」(佐伯奈津子)
     2:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』 「拡大するダム反対運動のネットワーク―インドネシアの事例から」(久保康之)

5)5/16:貧困者の歩み(People's Process)の発展とオルタナティブな発展モデル
 (必読)1:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』「貧困者の歩み(People's Process)の発展―パキスタン、タイの事例から」(下川雅嗣)
      2:『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカル相互作用』「結び―ローカル/グローバル相互作用が生む新たな発展モデル」(下川雅嗣)
 (推奨)1:下川「アジアにおける貧困者のあゆみとコミュニティ・ビジネス」内田雄造編著『まちづくりとコミュニティネットワーク』解放出版社, 159−185, 2006年。

6)5/23:卒論計画の報告・グループ研究テーマの提案

7)5/30:貧困と教育:学校教育、ノンフォーマル教育、識字教育、意識化教育(パウロフレイレ)
 (必読)1:糟谷有紀子『教育は貧困者の可能性を拡大できるか』2004年度卒業論文
      2:『教育支援について』下川のインタビュー記事のまとめ(6ページ)(M)
      3:氏原由実 (2007)『パウロ・フレイレの教育学と日本社会の意識化への可能性』2006年度セミ論
 (推奨)1:パウロ・フレイレ(小沢有作他共訳) (1979), 『被抑圧者の教育学』亜紀書房、または、パウロ・フレイレ(三砂 ちづる 訳)(2011)、『被抑圧者の教育学ー新約』亜紀書房。
      2:パウロ・フレイレ(里見実訳) (2001), 『希望の教育学』太郎次郎社。
 (参考)1:2010年度ゼミグループ研究作成「貧困と教育」ブックレット(はじめに、全文→M)
     2:木村勝太『ノンフォーマル教育の拡大阻害要因:教育開発の潮流からの考察』2012年度卒業論文(全文→M)

8) 6/6:知的所有権の国際的ハーモナイゼーションの問題(特に途上国の視点から)
 (必読)1:大澤傑(2011)『知的財産権制度の国際的ハーモナイゼーションと発展途上国の技術革新:誰の技術革新なのか』2010年度修士論文
      2:大澤傑(2012)「知的財産権の国際的ハーモナイゼーションと発展途上国:技術革新の主体に注目した実証分析」『コスモポリス』 6, 51-63。
      ※上記2は、1の論文から第一章の部分(国際的な知的財産権制度整備の背景(TRIPS協定の成立や問題点、特に目立っている社会問題等を含む)を除いて、 理論的・データ実証的な部分だけをまとめたものである。よって2はすべて1に含まれる。逆にTRIPS制定の歴史や知的所有権の引き起こす有名な問題等に詳しいかたは2だけを読むのでもよい。

9)6/13:知的所有権と途上国の国内産業育成(インドの医薬品産業を例として)
 (必読)1: 野村綾子『インド医薬品産業政策の抱えるジレンマ』2012年度修士論文(M)
     ※特に、2章、3章は必ず読んでおくように。

10)6/20:グローバル化と先進国における貧困と社会的排除
 (必読)1:「グローバル化と先進国における貧困と社会的排除:野宿者、フリーター、移住労働者の現場から」(第27回国際シンポジウム, 2007)(M)→本購入の場合
      2:松浦菜穂『大学における非正規雇用の現状』2012年度ゼミ論文(M)
 (推奨)1::上智大学社会正義研究所『宮下公園ナイキ化計画の何が問題なのか』(2009.7.9ミニシンポジウム記録集)←スクロールして同名のPDFファイルをクリックしてください。

11)6/27:グローバル化に対抗する運動とその可能性
 (必読)1:「グローバル化に対抗する運動とその可能性〜いかに繋がり、いかに変えるか〜」 (社会正義研究所第29回国際シンポジウム, 2009)(M)→ 本購入の場合

12) 7/4 :グローバル化とオルタナティブな働き方(協同労働)
 (必読)1:協同労働についてのTV(グローズアップ現代『働くみんなが“経営者” 〜雇用難の社会を変えられるか〜』2013年2月放映
      2:菅野正純「「民衆のグローバリゼーション」と「協同労働の協働組合」」『社会正義』23, pp23-41.
 (推奨)1ホセ・アスルメンディ 『アリスメンディアリエタの協同組合哲学―スペイン・モンドラゴン協同組合の創設思想』
      2:協同総合研究所のHPは参考になります

13)7/11:社会的企業(ソーシャル・ビジネス)は何ができるのか(変更の可能性あり;未完成)
 (必読)1:伊豆倉竜 (2008) 『社会的企業と社会起業家はその使命を果たせるか』2007年度ゼミ論文(M)
 (推奨)1:伊豆倉竜(2009)『人に優しい社会を目指して;ソーシャルビジネスと連帯経済は社会的排除に対抗しうるか』2008年度卒業論文(M)
      2:ムハマド・ユヌス著、猪熊弘子訳 (2008)『貧困のない世界を創る』早川書房。

14) 7/18: 卒論中間報告(できればグループ研究、ゼミ論テーマ発表)

(他の可能性としては、マイクロクレジット、TPP、都市再開発と排除、環境問題と排出権取引、累積債務問題、アグリビジネス(緑の革命、遺伝子組換穀物)と発展途上国)他

卒論執筆者・ゼミ論執筆者の日程目安

<春学期:演習(国際政治経済論1)>
・5/31:国際関係副専攻卒論登録締切(これ以前にテーマをある程度絞っておかないとこのときでは遅い)
・7/18に 卒論・ゼミ論・グループ研究/プロジェクト等のテーマ・途中経過発表
(なお、卒論は春学期・秋学期にわけて3単位ずつ付与されるので、卒論執筆予定者はこの時点で最初の評価を受けることになるので、ある程度の完成度が要求されるのでご注意を)

<秋学期:演習(国際政治経済論2)>
・秋学期は順に中間発表
・12月9−13日:卒論提出期間
・12月末及び1月:卒論最終発表(ゼミの時間中)
・1月8日(水)国際関係研究(副専攻)全体での卒論発表会(16:30−)←おそらく各ゼミからの数名の代表者
・おそらく1月11,12,13のどこか1泊2日でゼミ論(グループ研究)最終報告合宿(原則全員参加)
・ゼミ論(グループ研究のプロダクト)の締切りは最終合宿の前のゼミの日(たぶん1月9日?)にしたいと考えている。また提出後、修 正指示があった場合の最終締め切りを1月20−25日あたり)と考えている。

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