徒然物草(2006年5月)
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大相撲五月場所。
序盤早々まさかの朝青龍休場、続いて横綱推挙が懸かると言われた栃東も休場と、
ションボリ場所になる懸念もあった出だしであったが、
新大関ながら早くも風格さえ漂う白鵬の堂々たる土俵っぷりに、
大関を目指した頃より強いんじゃないかという元大関雅山の見違えるような相撲、
更に十両全勝優勝を引っ下げての新入幕で
「黒船襲来」と言われた小錦の入幕時を思い出させるような把瑠都の活躍と、
看板力士の休場を埋めて余りある盛り上がりを見せた場所であった。
千秋楽の大関同士の取組を崩して白鵬−把瑠都戦の割を組んだ審判部も、
当然とは言え観客の期待に応えて見事。
同様の割崩しは正に蔵前最後場所の多賀竜・小錦の平幕優勝争いの時以来、
又、新入幕での三役揃い踏み登場は昭和48年九月場所の大錦以来だそうで、
この場所は大錦が新入幕で三賞独占という場所であったが、
そういう記録も思い出させてくれる(あたしはこの場所の記憶はない)。
しかしあくまでも変則であって、
把瑠都の快進撃が見えて来た時点で既に上位陣との対戦が期待されるので、
番付の権威・格と優勝争いの興味とを両立させるには、
もう一日早くから上位陣との割を組むという手もあったろう。
まぁ横綱休場の時点で変則なのではあるが。
ともあれ白鵬・雅山が役力士の壁を見せつけ、
優勝決定戦も力の入った相撲で、素晴らしい千秋楽であった。
白鵬は新大関ながら既にこの3場所が
13勝(千秋楽まで優勝を争って1差準優勝)・13勝(優勝同点)・14勝(優勝)
と堂々たる成績。
新大関からの連続優勝で横綱推挙を見送られた千代の山の例もあるが、
大関昇進前からの成績と相撲内容とを考えて、
来場所の成績如何で横綱推挙の議論が出ても時期尚早とは言えなかろう。
来場所の朝青龍の復帰と優勝争いとが楽しみである。
朝青龍を破って13勝以上の優勝か優勝同点なら横綱推挙に値するだろう。
全勝か1敗での千秋楽結び相星決戦ならその時点で充分、これも期待したい。
大関2場所での横綱推挙となれば照国以来、年6場所制となってからは初めて。
又、惜しくも初優勝を逃した雅山も、
この3場所が前頭筆頭で8勝・小結で10勝・関脇で14勝(優勝同点)と、
来場所は大関復帰の懸かる場所
(つうか5大関でなければ今場所後に昇進でも…‥…ん〜、ちと足りないか、
一時期(昭和40年代くらいまで)なら上がってておかしくない星ではある)、
来場所11勝なら昇進、10勝なら内容次第と見る。
千代大海・魁皇は怪我で失速が残念。琴欧州は怪我が直ってからの話。
琴光喜はぱっとせず。稀勢の里は終盤追い込んで勝越し、新三役が見えた。
若の里は序盤で横綱大関に連勝し、今場所はやるかと思った途端に7連敗で負越し、
これは何なんでしょうか。まだ怪我の回復が本物ではないのか。
把瑠都は堂々優勝争いに絡んでの11勝、強い。来場所の幕内上位での相撲が楽しみ。
幕内前半戦に高見盛・豊ノ島・片山・北桜など個性派の人気力士がいると、
相撲観戦が面白い。
十両優勝決定戦は豊桜・寶智山・皇牙の巴戦、
これが2巡目5戦目までもつれて、千秋楽の雰囲気が一挙に上昇。
皇牙の弓取り十両優勝は成らずも、まだチャンスはありそう。
幕下15枚目格付出の下田の全勝優勝→1場所で十両昇進の可能性、という記録も出た。
来場所への楽しみも色々膨らんだ場所だが、
「もみあげ兄弟」闘牙・隆の鶴が幕下陥落後相次いで引退したのは残念。
(2006-05-21)
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手元に本学の校友会組織である
上智大学ソフィア会
の会報が届いた。
その中で、本学国際教養学部(The Faculty of Liberal Arts)について、
Linda Grove 学術交流担当副学長の講演の要約
が紹介されていた。一部引用。
- Liberal Arts Education とは何か
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日本の大学には普通、教養学部がありますが、
日本で言う「教養」は幅広いけれど、ちょっとつまみ食い的なところがある。
本当の「Liberal Arts」はそうじゃなくて、知識は幅広いけれど、
一番大事なことは「Critical Thinking Skills」を養うことです。
論文とか本を読んでも、自分の頭で批判的に理解して、自分の言葉で話すようにする。
(後略)
何だ。数学でやってることじゃないですか、それ。
セミナーなんて正にそれに特化した訓練を強烈にやっている訳だよね。
いいな、これ頂きましょう。
「数学を通じて"Critical Thinking Skills"を養い、
真の"Liberal Arts"を身に付けよう。」
(2006-05-16)
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憲法・教育基本法改定の動きが不穏である。
その動きの根本には、
自分の都合の良いように我々を利用しようという発想が見える。
詳しくは
徒然物草付録(憲法記念日に寄せて)へ。2日遅れですが。(2006-05-05)
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