徒然物草(2008年12月)
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「北陸数論研究集会」参加のため金沢へ出張。
(2008-12-28)
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今回で7回目となり毎年この時期の恒例となってきた集会で、
回を重ねるに連れて認知度が上がって参加者も増えてきたのか、
今年は40名を越す盛況であった。
あたしは昨年は仕事で参加できず2年ぶりの参加。
例年、この集会は
「昔の論文をひもとく」「計算機の活用を紹介する」の組合せという傾向がある。
正に温故知新で、実に興味深い。
極度に抽象化が進んだ20世紀後半の数学を間に挟んで、
この両者が不思議に相性が良い。「対象が見える数学」とでも言えようか。
集会に加えて、旨い酒・旨い魚も堪能。世話人・講演者の方々に感謝。
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ところで、今回金沢で滞在した宿は(予約した時には気付かなかったのだが)
例の幕僚長の「懸賞論文」の件で名を馳せたホテルグループであった。
と言っても宿自体は普通のホテルで、
資金源が何処にあるのかは知らないが大浴場も立派な造りで寛げたし、
別に朝食の前に起立して君が代斉唱とか言われる訳でもなく(当たり前か)、
特に困ったことはなかったが、流石に例の「懸賞論文集」が部屋に置いてあった。
幕僚長の「論文」とやらは4ページ足らずだったので読んでしまったが、
内容についての論評は専門家に任せるとして、感想はより一般に
「この類のものを『論文』と呼んでくれるな」ということですね。
報道などで最近「論文」という言葉が使われる機会の多いものの一つが
この関連の話題だが、
考察・調査・観察・実験などの結果として何かを明らかにしたというものでもなく、
単にこう思う・こうだったらいいなぁという程度の文章である
(この辺りに書き散らかしているものと大差ない)。
随筆というとまた少し感じが変わるが、まぁそれに毛が生えた程度のものであって、
せいぜい作文とか意見文とか、そんな感じに区別して呼んでくれないものか。
我々の仕事の(最も主な)一つは論文を書くことだが、
この「論文」の類のものに心血を注いでいると誤解されたくはないからね。
(注: 同業者の人には当たり前のことで、改めてここに書くようなことではないのだが、
そうでない人には判らないからね、ちゃんと言っとかないと。)
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往復の切符を買った時に窓口で渡されたのが「北陸フリーきっぷ」。
4日間有効ということで丁度良かったようだ。単に往復だけでもかなり得。
集会の翌日は移動日だったのでフリーきっぷを有効利用して、
とも思ったが、遠くに向かうのも時間が掛かるなぁ、ということで、
帰りの道すがらの富山で途中下車。
通常の切符でも途中下車は出来るから、特急料金分だけ得したってことですね。
何の下調べもしなかったが、
取り敢えず富山ライトレールに乗って終点の岩瀬浜まで。
日本海の荒波を見て(地元の人によるとまだまだこんなもんじゃないそうだが)、
旧廻船問屋街を歩き、旨い酒・旨い蕎麦にありつく。堪能しました。
東岩瀬からライトレールに乗って富山駅へ。
天候には恵まれなかったものの、今回の途中下車は大正解だったな。
「北陸フリーきっぷ」には2600円増しでグリーン車用もあるとか。
これで新幹線・ほくほく線の往復それぞれでグリーン車に乗れるなら安い
(実際これで普通に(運賃+特急料金)×2より安い)。
それでも良かったかも知れん。来年はこれだな。
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朝から院生数名と待合わせて上野の
国立科学博物館へ。
うちの職場は
「大学パートナーシップ」
というのに入っているので(というか最近入ったので)、
学生は常設展・企画展は無料、特別展も割引で入れる。
教職員は対象外なのだが、学生の引率の場合は利用可能、とのことなので、
院生が行くのに便乗したのであった。
知らない学生も結構いたので、もっと宣伝しないといかんな。
(2008-12-20)
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科博には何回か入ったことはあったんだろうが、記憶が定かでなかった。
フーコーの振り子は見た覚えがあるが、何を見に行った時か思い出せない。
何だっけ。
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まづは本来のお目当ての、
関孝和三百年祭記念「数学〜日本のパイオニアたち」へ。
和算の伝統から解き起こして、明治時代に洋算を導入し、
世界的な数学者を輩出するまでの歴史が展示のメイン。
中々見応えがあった。小平先生のフィールズ賞のメダルも出展。
ここで見なきゃ見る機会がなかったんじゃなかろうか。
年齢的に取れないし(年齢以外の要因で取れないだろ)。
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続いて
全球型映像施設「THEATER36○」
に。
これは見逃せない、入るべきだ、と院生の一人が勧めてくれたので入ったのだが、
実際結構凄かった。
映像が動くだけでも身体が加速度を感じたりするのね。不思議だ。
「愛・地球博」のときに作ったものを移設したらしい。
全球型なので正確には360°じゃなくて4πステラジアンだけど。
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昼飯後、
特別展「菌類のふしぎ展〜きのことカビと仲間たち」
へ。こっちは割引。
フィーチャリング「もやしもん」だそうだ。そう書いてある。
展覧会で「フィーチャリング」って何さって感じだが、
会場に入ってみると正に「フィーチャリング」であった。
オリゼー君が案内役となり菌のフィギュアが至る所に。
ずらっと並んだ沢山のきのこの樹脂浸透標本が圧巻だ。
どう考えても普通ならマイナーで地味な企画な筈だが、
「もやしもん」効果か結構な賑わいだ。
これだけ特定のマンガ作品と手を組むのも珍しいんだろうが、
「もやしもん」ブームにあやかって、ここぞとばかりに打って出たんだろうな。
会場内にはあちこちに作者の落書きがあり、
展示を見つつも落書きを捜してカメラに収める人も多い。
展示台の下の方にもあったりするので油断がならない。
やるな、科博。
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回転寿司に入って食べていたら、隣に座ったおじさんがいきなり
「まぐろ三皿いか三皿」(「みさら」って読んでね)、少しして「いかをもう三皿」、
また少しして「ごっつぉさん」。
「白い皿ばっかで悪いねぇ」とか言いながらお勘定して帰っていきました。
寿司ってのは元々ファーストフードな訳だが、ここまで来るとかっこいいな。
(2008-12-05)
で、回転寿司に行って最近ハマっているのが巻き立ての河童巻。
海苔がしっとりする前に食べる。
海苔がパリパリ、胡瓜がシャキシャキ、それで山葵がツーンと来る。これだ。
(2009-01-31)
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