徒然物草(2009年2月)
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"Doing the Math to Find the Good Jobs"
によると、数学者が the best job だそうで。
ただ the worst jobs に挙がっているのを見ると「キツそう」な仕事ばかりなんで、
何だか「呑気な商売No.1」に挙げられたような気がしないでもない。(2009-02-12)
- 数学講究発表会。
うちのゼミ生4人は、予稿集原稿も何度も添削し(当然TeXで書き)、
発表練習も何度もして、前日には発表会の教室で舞台稽古をするなど、
準備と練習との甲斐あって、堂々とした発表であった。立派々々。
うちは例年通り板書発表であったが、
全体としてはOHPとかPCプロジェクタとかを使う発表の方が寧ろ多くなった。
10分間講演なのでその方が内容を沢山話せて、
学会講演などだったらそっちが適しているんだろうけれども、
講究発表は「発表実習」という意味合いがあるので、
敢えて難しい板書発表形式にしている。10分間だと話せることは極めて限られる。
そこで何に絞るべきか、本当に話さなければならない所は何処なのか、
見つめ直さないといけない。
ゼミ生の1人は発表練習初回で自分の計算したことを実にきちんと準備して話して、
きちんとし過ぎて25分。
これが30分講演ならいきなり完璧だったんだけどねぇ、ってんで、
ここから6割削減に向かった訳ですが、最初にきちんとした内容があったお蔭で、
その中から重要な所を残して10分にまとめて、当日の講演はしっかり収まった。
俳句の五七五じゃないが、制約があるのは厳しいが内容を研ぎ澄ます力になる。
時間内に収まらない自分の日頃の授業に反省。
(2009-02-03)
数学科としての数学講究発表会は今の2年生まで後2回しかなく
(過年度生はどうするんだろ)、
その後は情報理工学科として他の分野と共に卒業研究発表会に臨むことになる。
その辺を幾らか意識して、
今年は単に読んだテキストのトピックをまとめて話すというのではなく、
自分で問題を探すなり、こちらで提示した問題から選ぶなりして、
とにかく自分で計算してきて、それについて講演する、という形にした。
やってみるとこの方が指導も楽しいし、
話す方も自分が計算したことなので自信を持って話せるし、
「これを伝えたい」というのがあるし、
上述のように何に絞るか考えるにも考え易いようだし、
中には自分で面白い例を作ってきて条件を満たすことの証明を付けたりと、
相当のことをやってくれる学生もいる。
正直言って、標準的に知られている例の計算だったり、演習問題に過ぎなかったり、
自分で作ってきたと言っても外で発表できる程な訳もなく、
その辺は工学系のように卒研の成果を学会で発表する訳にはいかないが、
それでも学生の動作としては、
自分にとって未知なことについてあれこれ計算したり文献を調べたり、
我々が研究する動作と変わらない。
学生にとっては「研究」と言って良いのではないか。
「数学では学部のゼミで研究なんて難しい」と言っているだけでなく、
やり方を工夫して「研究の動作」を体験させることはできるんじゃないかな。
ゼミだって授業科目な訳で、授業の目的・目標ってのがあって然るべき。
講義だったら目的はカリキュラムの中での位置づけで決まっていて、
それを見据えて半期でここまでやろうという目標を立てて、
それに向かって進度を考えながら時折は目標を修正しながら進めていく
(当たり前だけど)。
だったらゼミだって授業としての目的を我々がちゃんと意識して、
その上で1年間の目標として最後に発表会でしっかりした発表をやり遂げる
というのがあったら、
それに向けて進度を考えながら時折は目標を修正しながら進めていく、
というので当たり前ではないか。
などと同僚と話していたら、
rossoさんの
「酔歩伝(Random Walk on the Mathematical Way)」
内の
「数学的昨日今日」2009年2月1日の項に同じようなことが書いてあった。
(2009-02-04)
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