数学科教育法III講義日記



4/16

初回。例年40名前後だが、今年は少なめに振れて30名を切る程度。 能書きプリントとアンケートと

を配る。 アンケートによると、 数学科以外の受講生もあちこちの学科どころか他学部からも来ている。 数学科の教職課程非登録の受講生も多めなのが気になる。 2年生のうちからこんな所に単位を拾いに来るな、と言いたい所。

午前中に 立教大学で担当(非常勤)の「数学科教育法1」 の授業をしてきたのだが、そこで時間配分をしくじって、 毎度初回に提出してもらっている授業時レポートを次回提出に回してしまった。 毎週同じ日に両方の授業があって、進み方が合ってる方がやり易いので、 既に、こっちでも次回提出にしてしまって良いかな、という気分。 (去年も同じ曜日にしたのだけれど、立教の方が1回早く始まったので、 始めから進度がずれていて、結構混乱した。) 関連書籍の紹介の時に、こっちでも 「数学セミナー」 を知ってるか訊いてみたが、 数学科の学生が多いのに、こっちでもやはり知らない人が多い模様。 おいおい。 学校の授業以外じゃ数学に触れません、なんてのは、 高校までの数学嫌いな学生の言う台詞だぜ。

「如何に教えるか」から「何故学ぶのか」まで遡る話のプロジェクタ資料を 持ってくるのを忘れてしまったことは午前中の授業で判明していたので、 板書で話をする。 授業時レポートの予定は次回提出の小レポートに変更。

小レポート(次回提出)

小レポート: 今迄に自分が受けた授業(中学・高校・大学、数学・それ以外問わず)を振り返って、 「こんな授業をしてみたい」 というのを思い出してみる。 (但し、個別的・瑣末的なことでも良いから、なるべく具体的に。 単に漠然と「判り易い」「楽しい」「面白い」等では不可。)

4/23

立教での授業に続き、 「計算しない数学」(根上正也)を紹介。 これは実に読むべき本だなぁ。 結局あれだな、 「ユークリッド原論」教条主義から脱して実用的な微積分中心の数学教育へ、 という改革を目指したペリー運動が、 1世紀経って定着すると並行して形骸化して、またその本意が抜け落ちて、 形式計算中心の微積分重視教育となって同様の弊害が出てきたので、 今度は形式計算から脱して離散数学を題材に「基礎数学力」を育む数学教育へ、 という提唱が始まった、ということでしょうか。 てゆうか、日本ではペリー運動の本意が根付かずに終わってしまったので、 弊害が出てきているのかも知れない。

さて、教材研究へ。 最初の研究課題は例年お馴染みのこの問題。

7番勝負(4勝先取)の対戦での、勝ち側から見た勝敗の並びパターンは何通り?

黒板で説明してくれる人を募ったら、いきなり _7C_4=35 の方が出ちゃった。 ま、そゆこともあるかね。例によって難癖を付けてみる。 「4勝したら打切りなんだけど」「数えろと言われた物と違う物を数えてない?」 難癖という程ではなくて、 1対1対応が付いてるから、と言ってくれれば良いんですけどね。 など書いて更に続く。暫し待たれよ。

時間の最後に駆け込みで次回提出の小レポート課題の提示。

小レポート(次回提出)

大学で数学を勉強していて/塾・家庭教師などで教えてみて、 中学・高校で学習した数学の内容で「あぁそういうことだったのか」と判ったこと。

4/30

前回提出の小レポートの回答の紹介。 色々喋ってたら終わらなかったよ。 色んなことがやりたいけれど時間に制約があるから全部は出来ないので、 その中でどう選択するかという判断が大事、 とか言っておきながら、自分で時間の管理が出来ていません。いけませんねぇ。

という訳で、最後に教材研究の研究課題の続きを慌てて提示して終わり。

研究課題

5/7

前々回提出の小レポートの回答の紹介の続きと 前回提出の小レポートの回答の紹介。 色々喋ってたら終わらなかったよ。いけませんねぇ。

回答紹介では数学の出来ない人の意見もあると参考になるのでは、 というコメントをもらいました。 それはまたその通りではあるけれど、この授業ではしていません。 一つには、数学教育学の専門家ならいざ知らず、 この授業の受講生以外からの回答を集める機会がないこと、 これはまぁごめんなさいではある。 けれども、そういう回答を紹介しても「ふぅん」という感じで終わるのではないか。 二つ目としては、自分の(或は顔が見える仲間である同じ受講生の)回答が紹介され、 それにコメントを加えているということで、 自分の問題としての意識で聴けることを期待していること。 結局、この授業としては学問的な「数学科教育法」は展開できないので、 とにかく「自分と数学との関わりを見つめ直す」ということを大切にしていきたい、 そういう機会にすることを目標に置いています。 だから、必ずしも教員にならなくても、 数学を学ぶものとしても有意義なものに出来るんじゃないか、 数学科教育法は数学科学習法でもある、と思っています。