今年度初授業。 今年は物質生命理工学科は定員よりも少々多めに取ったので、70名程度の模様。 大体去年と同じような感じで進めるつもり。
導入は去年と同様で「不等式の数学」をしましょう、 という訳で、去年と同じ題材だが数値を微妙に変えてみた。
縦が大体3cm、横が大体5cmの長方形の紙がある。 従って、面積は大体3×5=15cm^2である。 さて、面積の誤差が0.1cm^2未満であると言うためには、 縦横の長さの誤差をどの程度に収めれば良いか。
去年は20×30で面積の誤差を1cm^2未満にせよ、という設定だった。 どうして変えたかと言うと、 縦横の誤差の限界をδとして面積の誤差を評価する時に、 素直に計算していくとδの2次式で押えられるが、 2次不等式を解くのは面倒なので、δを仮押えして1次式で押えたい。 δ≦1と仮定してδ^2≦δとするのが通常だが、 ここでδ≦1とする時のこの1が面積の誤差の限界の1を取っている、という誤認が、 演習の答案を見たら結構あったので、 これとは関係ないことをはっきりさせるために、1未満じゃなくて0.1未満にした。 それでもδ≦1として進めるのには変わらない。
他に説明の工夫としては、一つ目としては設定と目標とを明示した。 設定は x=3+h,y=5+k で、 目標は「|h|<δ,|k|<δ⇒|xy-15|<0.1」となるδを見つけること。 但し、δは桁くらい判れば良くて、 出来れば誤差の限界が小さくなっても通用する方法で見つけること。
工夫の二つ目としては、技術的な細部の補足の所をはっきりとそう区別した。 δ≦1と仮定してδ^2≦δとするところをδ^2≦1としても ここだけなら間違ってはいないが、目的は達成できないので適切でない、とか、 δ≦2と仮定してδ^2≦2δで押えても別に問題ないよ、とか。 要はうまくいけばどうでもよいのだが、 そのためには目標を見定めて目論見を持って動く必要あり。 漫然と計算していって何か簡単になりました、というのではないよ、 というようなことは、やはり言っておきたい重要なことだが、 色々言うと却って混乱しそうでもある。 なので、気持ちは解っておいてもらいたいが、技術的には細かいことの所だよ、 ということを明示した。
さて、どんな小さな許容誤差に対しても測定精度を上げれば大丈夫、 h,kが0に充分近ければ(3+h)(5+k)が15に充分近い、というのが lim_{h→0,k→0}(3+h)(5+k)=15 っていうことの、 つまり lim_{x→3,y→5}xy=15 っていうことの、実質的な意味内容だよ、 「近付けば近付く」という高校流の言い方でも構わないんだけど、 色々議論を進めるのには限界があったので、 「近ければ近い」というように議論を工夫しました、 これが所謂「ε-δ論法」というものですよ、という所で初回は終了。 大学の微積の授業の初回で早くもε-δ論法のキモの話が終わってしまったぞ。 次回の演習でどうなるだろうか。
前回の復習から入って、問題演習へ。
関数 f(x)=x^2 において、 x を 3 に近付けると f(x) は 9 に近付くようだが、 その誤差について、
- |f(x)-9| < 0.1 となるためには、x をどの程度 3 に近付ければ良いか (つまり、|x-3| < δ ⇒ |f(x)-9| < 0.1 と言えるためには、 δの値をどれくらいにすれば良いか)。 (ヒント: x=3+h と置くと計算し易い。)
- |f(x)-9| < 0.0001=1/10000 となるためには ?
- 一般に、εを任意の正の数として、|f(x)-9| < ε となるためには、 δの値をどれくらいにすれば良いか。 (ヒント: 同じ要領の評価を変数εのまま行なえば良い。)
桁くらい合っていれば評価はぎりぎりでなくても良いので、 δ≦1の仮定の下で6δ+δ^2≦6δ+δ=7δまで来た所で、 7δ<10δ としてしまっても問題はないが、しなくたって別に構わない。 最後でδ≦1/70となった所で、桁くらい合っている値を一つ取れ、 と言われたら、どうせ0.01で良いだろうからね。 これで構わない、という判断は解っていないと出来ないので難しい。 演習中に質問は続出したが、これは取り敢えずは 「どっちでも良いよ(但し、論理的に一つも間違いがなければ)」 ということにしておいた。
どんな(小さい)限界を要求されても、充分精度を上げれば、 誤差をそれより小さくできる、というのが、 「限りなく近付く」の意味内容だよね、 ちゃんとやろうとするとどうせこのことを確かめるなら、 これを定義として極限を定式化してしまおう、 ということで、所謂「ε-δ」流の極限の定式化(定義)を紹介。 ここ百年以上の間、この定義で成功しているので良い定式化だったんでしょう。
誤差制御の話のもう一つとして、 何回か測定して平均値を取ったら誤差の限界は小さくなるか、 という話をしたが、効果的かどうかちょっと疑問にも思えてきた。 一応は2年次の「数学C(確率統計)」との絡みや、 実験学的な意味合い(系統誤差・偶然誤差)があるので入れてみているのだけれど、 ここで二三十分取ってやっておく意味があるかどうか。来年はやめるかも。
時間が余りないので、極限・近似という考え方 (無限を有限で近似する・有限を無限で近似する) の話だけして終了。 Taylor展開の導入まで進む予定だったけど、入れなかった。
前回の演習の答案返却。 答案執筆(とは普通言わないけどね)に関する一般的な注意。 技術的な注意点については、 何でそういう風にする/して良いのかが解らないと理解できないと思うので、 その判断に際して我々が念頭に置いている「ε-δ」流の証明を紹介してみた。 技術的な注意点を細かく言うよりも、幾らかでも呼吸が伝われば、と。 この呼吸が何となくでも掴めれば、 理論的な点をしっかり書かれた教科書も読めますよ、と言って、 ここまでで止める。ここまで話してここで止めるのが大事と判断した。
で、Taylor展開の話へ。 無限等比級数の和の公式を逆に読んで、関数を冪級数(多項式の極限)で表すと見る。 一般の関数 f に対して(Taylor展開が都合良くできるとすれば) 形式的Taylor展開の係数が高階微分係数で書けることを見てから、 有限二項展開・指数関数・三角関数(cos)の場合を直接計算で見せる。 まずはTaylor展開のご利益ということで、近似値・極限値の計算の例を見せて、 演習問題を配って終了。大型連休を挟むので、課題を出しておいて丁度良いでしょう。
- f(x)=sin x のTaylor展開を求めよ。
- これを利用して、
- 極限 lim_{x→0}((sin x-x)/x^3) を求めよ。
- sin 1 の近似値を小数第4位まで求めよ。
授業後に何人か質問に来たが、一般の関数 f について、という話が、 具体的な関数について考える場合に使える話だ、 ということが伝わっていなかった模様。 「一般に」というのが解らなかったのかなぁ。 これが通じないと数学の講義ってすごくやり難いのだが。う〜む。
連休で1回空いているので、1週空いて2週間振りの授業。 前回の演習の板書発表者を募ったが出てくれない。 軽く復習の後、仕方ないのでこちらで解説。 その後、Taylor展開というか冪級数の計算の練習で、冪級数の四則や合成など。 筆算で掛け算・割り算をする方法を解説して、 演習問題プリントを配布。 去年までは演習としては採り挙げていなかったが、やっておいた方がよいかな、と。 授業時間には行なわないで、次回提出・解説の宿題にしておく。 exp(x+x^2) の方は2通りの方法が考えられますね。 1/(1-x-x^2) の方はFibonacci数列が出てくるので、色々なネタ元にもする予定。
次の関数の Taylor 展開を x^4 の項まで求めよ。
- e^{x+x^2}=exp(x+x^2)
- 1/(1-x-x^2)
Taylor展開の使い方を見たので、今回からはTaylor展開の裏付けとなる理論へ。 Taylor 展開の利点・欠点・課題点のまとめ。 課題点の第一として収束性から。 無限級数の収束・発散の例。 Σ_{n=1}^∞ (-1)^{n-1}/n を色々いじって奇怪な現象を観察。 そのまま順番通り足すと log 2 になるのは有名な事実だが、 まぁ観光名所の見物のつもりで、区分求積・挟みうちで求めるのを解説。 プロジェクタ資料で図を仕込んでおくと便利だ。 聴衆の雰囲気としては「ほぉ」という暖かい様子で、結構反応あるな、という感じ。 中々やり易い。 で、奇怪な現象が起こるのは、 正の項だけ・負の項だけの和を積もらせると発散する所に原因がある。 それはつまり絶対値を積もらせると発散する、という訳で、 Σ_{n=1}^∞ 1/n=+∞ の発散を log で下から押える評価で解説。 これも図はプロジェクタ資料で仕込み。 絶対収束・条件収束の説明は駆け足だったので、次回に復習が必要だな。
前々回の演習の答案を返却している間に、 前回の演習の板書発表者を募ったら、 一人前に出て板書してくれた。で、解説。 指数関数の展開に x+x^2 を代入、という方でやってくれたので、 e^x*e^{x^2} としても出来る、と補足。 1/(1-x-x^2) の方は係数の満たす漸化式を紹介して(証明抜き)、 知ってる?と尋ねたら、Fibonacci数列、という名前が出てきた。 Taylor展開は関数から展開係数列を得て、その数列の性質から関数を調べる方向だが、 逆に数列から母関数を作って、その関数の性質から数列を調べる方向もあるよ、 と補足。
絶対収束・条件収束の説明を復習してから、 正項級数・単調増加数列の収束・発散の話。 数列の収束・正の無限大への発散のε-δ流の定式化も紹介。 去年の感じだともう少し突っ込めた気がするので、 この辺は去年までは話さなかったことも話している。 単調増加数列は最小上界(上限)に収束。上限の存在には触れていない。 次回の復習の時に補足すれば良かろう。 比較判定法。等比級数との比較。 駆け込みでd'Alembertの比テスト・Cauchyのn乗根テストを紹介して時間切れ。 この後で演習問題を配って1問くらい解説して残りを宿題にしようと思っていたが、 そこまで行かなかったので、次回の授業時に少し時間を取って演習をしよう。
授業中に何人かから質問が出た。そういう雰囲気には出来ているようだ。
いかん、時間配分を誤って、予定まで全然進まなかった。結構致命的かも。
収束性判定(d'Alembertの比テスト・Cauchyのn乗根テスト)までの復習をして、演習。 実は復習に時間を掛け過ぎたのか。
次の級数が絶対収束するような $x$ の範囲は?
- Σ_{n=1}^∞ x^n/(n 2^n)
- Σ_{n=0}^∞ n 3^n x^n
- Σ_{n=0}^∞ x^n/n!
- Σ_{n=0}^∞ n! x^n
- Σ_{n=0}^∞ n^n/n! x^n
ちょっと時間を取った後、解説に戻る。 典型的な強さ比較ということで、 指数関数・多項式・対数関数の強さの比較について。 こういうのは一度聴いたら細かいことはさておき 常識と言うか感覚を持ってもらいたい。 引続き、比テスト・n乗根テストでの判定が微妙な例で、 隣接項の比が1に収束する場合の典型例として、 Σ_{n=1}^∞ 1/n^s の話から、Riemannのζ関数とその特殊値のお話。 ここはお話としては是非喋りたい所なんだが、ちょっと時間を取り過ぎた。 数学には未解決な問題が沢山あって、 現在でも専門家がその解明に向けて日々取り組んでいて、 新しい発見が次々になされているんだよ、ってことは伝えておきたいんだが。 Riemann 予想に絡めて Millenium Prize の話をしても、 受講生の殆どは2000年の頃はまだ10歳になるかならずなんだよね。 20世紀も遠くなりにけり。
最後に収束半径について、言葉を紹介。 そういう境目が存在するということの証明には詳しくは触れず。 Taylorの定理の導入・紹介まで進みたかったが、時間切れ。
前回に時間配分を誤って、Taylorの定理の導入・紹介まで進めなかったので、 今回はそこから始めて定理の証明と演習まで進まないと、 中間試験までの予定が破綻する。 しかし、結局演習の時間が足りず、提出までには至らなかった。 次回提出だと次々回予定の中間試験の前に答案が返せない。どうしよう。
Rolleの定理については一応知っていることなので、 これを使ってCauchyの平均値の定理→Taylorの定理と進んで、 証明を終えてから演習を行なって提出出来る時間を確保し、 次回に返却・解説の後、Rolleの定理を振り返って補足する、 という流れにして、この回には証明をしない、という手もあったかも知れない。 時間的なことの他にも、 高校でやったことをまたわざわざやってるな、 という空気が、Rolleの定理の証明中に若干あったので。
何とかかんとかTaylorの定理の証明を終えて、剰余項の評価の演習問題へ。 解答し易いように、 問題文に「丸め誤差・打ち切り誤差の両方を考慮に入れよ」と明示的に入れてみた。 定理を用いて剰余項の評価をする、というのが良く判らない人もいるようなので、 質問に対して個別対応。う〜ん、そこまで言わなきゃいけませんか。
剰余項の評価の演習問題の解説から。 答案を提出してもらうと中間試験までに返せなくて勉強に差し支えるので、 「ちゃんとやったかどうかは中間試験で判るので提出せず」と伝えておく。
二項展開の話に移る。二項展開の剰余項の評価は直接には (発散する点の近くでの評価が)難しいので、項別微積分を用いて示す、 ということで項別微積分の話へ。 これは極限操作の順序交換なので、 この冪級数の収束円内での項別微積分の場合は大丈夫だけれど、 一般には順序交換可能じゃないので自明ではないよ、ということで、 例を出しておく。 ε-δ流の証明の書き方の例としても見せておきたかった。 最後に駆け込みで二項展開(形式的Taylor展開が元の関数と一致すること) の証明をやって、中間試験前は終了。
登録受講生73名全員出席、遅刻なし欠席なし。素晴らしい。 1時間経過くらいで解答終了提出者が現れ、その後ちょぼちょぼと続いて、 10分前くらいから五月雨式に提出者が来て、定刻には残りが3割程度だったか。 刻限後に一斉に提出して混乱するより楽だった。 途中退室というと全然出来なくて見切って出て行く場合もあるが、 今回は時間内にざっと見た限り、 始めの頃の途中提出者はほぼ出来が良かったようだ。 5分前くらいの提出者は判らん。もう見てる暇がなかったので。
取り敢えず○×問題だけ採点したが、4問全問正解の人が7割程度。 例年と比べてもかなり良いんじゃないでしょうか。
人数: 73 :配点:平均点:得点率:偏差率:相関係数 計: 100: 79.4: 79.4: 0.15 1: 20: 17.3: 86.3: 0.23: 0.62 2: 20: 15.1: 75.3: 0.26: 0.81 3: 20: 13.8: 69.0: 0.21: 0.62 4: 15: 13.4: 89.3: 0.15: 0.52 5: 15: 13.2: 88.3: 0.22: 0.44 6: 10: 6.6: 66.0: 0.41: 0.72 分布 100 : 0: 90〜 99: 24: ************************ 80〜 89: 23: *********************** 70〜 79: 5: ***** 60〜 69: 12: ************ 50〜 59: 4: **** 40〜 49: 5: ***** 30〜 39: 0: 20〜 29: 0: 10〜 19: 0: 0〜 9: 0:
100点がいないのは100点に近付くほど細部まで厳しく見たので。 間違いなく例年になく良い。 再履修者がどうしても苦戦するのは仕方ないと考えれば、 今年は再履修者が少ない(2名)分だけ高く出ても不思議ではないが、 それにしても良く勉強しているようです。 大学の試験は情報戦の側面があって、 新学科2年目ということで情報を入手し易かったこともあるかもしれないが、 情報が入手できてもそれを基に勉強しなければ 実際に結果にすることは出来ない訳で、 とにかくしっかり準備して臨んだことは確か。 過去問をネットで公開しているのは、 こういうことを理解してね、というメッセージなので、 それを手掛かりに勉強してくれて成績が良かったのは、 システムが回っているということであって、 お互いの幸せである。 もっとも答案の細部を見ると、 ちゃんと理解しているかどうか怪しいものは数多くある。 それはこれからでしょう。
補足と備忘。問3(2)は単独で証明の形に書けていることを要請した。 問題文にも「証明せよ(示せ)」と書いた筈だが、 もっとはっきり明示しておいた方が良かったかも。 或は、証明としての体裁を或る程度用意してあげても良いかも知れない。
中間試験も終わって本日は幕間。 「指数関数の逆関数が対数関数」から始めて 逆三角関数のTaylor展開に至る話。 など書いて更に続く。暫し待たれよ。
など書いて更に続く。暫し待たれよ。
中間試験と同様、登録受講生73名全員出席、遅刻なし欠席なし。素晴らしい。
人数: 73 :配点:平均点:得点率:偏差率:相関係数:無答者:解答者平均:同得点率 計: 135: 87.5: 64.8: 0.14 1: 15: 9.7: 64.4: 0.19: 0.08: 0: 9.7: 64.4 2: 20: 18.6: 93.1: 0.17: 0.49: 0: 18.6: 93.1 3: 20: 17.0: 84.9: 0.19: 0.45: 0: 17.0: 84.9 4: 15: 12.8: 85.0: 0.23: 0.70: 0: 12.8: 85.0 5: 20: 16.6: 83.2: 0.28: 0.76: 0: 16.6: 83.2 6: 15: 3.2: 21.6: 0.34: 0.56: 22: 4.6: 31.0 7: 15: 1.0: 6.8: 0.17: 0.42: 32: 1.8: 12.2 8: 15: 8.6: 57.2: 0.42: 0.73: 6: 9.3: 62.3 分布 120〜 : 2: ** 110〜119: 6: ****** 100〜109: 14: ************** 90〜 99: 16: **************** 80〜 89: 13: ************* 70〜 79: 8: ******** 60〜 69: 10: ********** 50〜 59: 1: * 40〜 49: 2: ** 30〜 39: 0: 20〜 29: 1: * 10〜 19: 0: 0〜 9: 0:
もう全然速報でも何でもないんですが一応。 問1(3)は過去問と似たような形で少し変えて収束するか発散するかを変えたのだが、 殆どの人が不正解でした。あからさま過ぎる。 もうね、試験の出来を制御するなんて簡単だね、って感じですね。 問2も答だけ覚えてきたという疑念のある答案が若干あり。 その辺が判定できるように、値をうまく変えて出題すべきだった。 問3〜5は、良く勉強してきましたね、という他は特に言うこと無し。 問4は授業時演習でやったことが解っているかどうか、 問5は総合的なスキルが身に付いているかどうか、 という点で、結果との相関が高いのだろう。
問6は、所謂「ε-δ流」の書き方で、 大枠をヒントとして示して、それに順って書けるか、という問題。 授業中にも簡単に紹介はしたが、余り強調はしなかった。 パーフェクトに書いてきたのが4人。立派立派。 数学科の1年生に散々演習させても中々書けない。 こういう人が5%くらいはいますね。 引続き選択科目でも数学系の授業を履修してもらいたいものです。 やや難ありだが充分という程度の人が同数くらい。 大体解ってるようなので後はこのフォーマットに順って書けば良さそう、 というのが10人ほど。 ここまでの大体1/4くらいの人は下記の評価が出来ていました。 授業時演習や中間試験での同様な問題では、 「|h|<δ⇒|h^2+6h|<δ^2+6δ」という類の評価をしたのだが、 どれくらいちゃんと解ってるかな、というのを見るために、今回は |h|<δ の下で |h^2-6h| の評価を訊いてみた。 案の定、|h^2-6h|<δ^2-6δとするもの多し。 挙げ句の果てに、「従って、δ=min{1,-ε/5}に取れば良い。」とか、 -ε/5<0 なんですが。 三角不等式って難しいものではないんですが、 高校までだと意識して使う機会がないので、使い所や有意義さが解り難いですね。 中間試験でもこの程度の匙加減一つで出来ががらりと変わっていた訳で、 どの辺りを問う出題にするか、出題意図をしっかり持っていないと、 試験結果(点数)と評価とが結び付くようにするのは難しい。
問7は、0の近くには不連続点が無限個あるけど狭い幅に収まる、 残りは有限個なので各々を狭い幅で挟む、の2段階で5点づつくらいの感じ。 ヒントを付けたように、目標のεに対して、 不連続点を含む区間の幅の合計がε以下になるような分割を構成する、 という感じに書けていれば満点の15点のつもりだったが、そこまではいなかった。 まぁ問6・問7は、ここで充分に点が付けばA、という感じの問題だから、 これで良いでしょう。 相関がやや低いのは、 総得点の高い人でも本問を得点できない人もいるからだと思われる。
問8は、積分と図形の面積との関係や 部分積分の図形的意味(部分積分は或る種の総和法)を想起させる問題。 指数関数と三角関数とは似ている(従って、対数関数と逆三角関数とは似ている) という観点で言うと、log で同じことを考えてみると理解が深まるでしょう。 この問題も問5と同様に総合的な理解が問われていて、 解っていれば得点し易いので、相関が高く出ていると思われる。