活動報告

<第1回研究会の概要>
2011年5月29日 上智大学にて開催

「こどもの哲学」そして、Pと4つのC
発表者:本間直樹・高橋綾

第1回研究会では、「こどもの哲学=P4C(Philosophy for Children)」の国内外の取り組みに関する報告が行われた。まず、発表者が見学に訪れた海外のP4Cの様子について報告がなされ、続いて、発表者が小学校(兵庫県西宮市香櫨園小学校)や大学(大阪大学)で実際に取り組んできたP4Cの様子が動画や写真も交えて報告された。また、以上の調査と実践の過程から生じた「P4C」という名称に関する反省的考察も展開された。

質疑応答では、発表者の国内での実践に関する意見交換に多くの時間が割かれ、発表者が使用した対話の素材(絵本や抽象画など)やツール(コミュニティ・ボールやトラフィック・ライトなど)について多くの意見が交換された。また、学校現場にP4Cを持ち込む際のさまざまな困難や、哲学研究者がP4Cに携わる際の立ち位置などについても議論が交わされ、そこから、本研究プロジェクトの最終的な目標や、本研究プロジェクトが目指すべき哲学教育のあり方についての意見交換へと繋がっていった。

<第2回研究会の概要>
2011年12月17日~18日 立教大学にて開催
[12月17日]

「立教小学校・玉川学園で実施した「子どもの哲学」授業の報告」
発表者:土屋陽介
「授業の方法について」
発表者:村瀬智之
「初等教育における哲学教育の今後の展開」
発表者:河野哲也
森田伸子先生(日本女子大)よりコメントを頂いた。

12月17日には、2011年10月-11月に都内小学校で行われた子どもの哲学の授業の詳しい実践報告が土屋陽介(茨城大学)より行われた。その上で村瀬智之(千葉大学)、河野哲也(立教大学)がそれぞれ実践の方法や背景等について簡単な発表・コメントを行った。また、教育学を専門にされている森田伸子先生(日本女子大)をお迎えし、教育学の観点からコメントを頂いた。

質疑応答では、授業を一緒に行った小学校の先生方にも感想やコメントを頂くことができた、より多層的に実践を検討することができた。また、特に実際の現場において子どもの哲学の授業実践が為される際の意義と問題点について活発な議論が展開された。

[12月18日午前]
ICPIC Korea報告

「ICPICの概要の報告」
発表者:高橋綾・本間直樹
「PCYNAPの概要の報告」
発表者:豊田光世
「授業実践「トレイン」を中心に」
発表者:村瀬智之

2011年夏に韓国晋州市で開催されたInternational Council of Philosophical Inquiry with Children(ICPIC)発表大会に参加した研究会メンバーより大会の様子についての報告が行われた。高橋綾(大阪大学)・本間直樹(大阪大学)からは、これまで行われてきたICPICの大会との比較も含めた全体的な報告が為された。豊田光世(兵庫県立大学)からは環太平洋に新たに構築されつつある子どもの哲学の実践者のネットワークであるPhilosophy with Children and Youth Network for Asia and the Pacific(PCYNAP)の概要の報告、および、日本からの参加の方法等が報告された。村瀬智之(千葉大学)からは、発表大会において発表された実践方法の紹介とそれを国内の学校で使用した授業実践の報告が為された。

[12月18日午後]
研究発表

「シティズンシップ教育としての「子どもの哲学」」
発表者:森秀樹

発表では、森秀樹(兵庫教育大学)により、シティズンシップ教育の位置づけと意義を詳細に検討した上で、子どもの哲学を応用する取り組みを考察した論考が発表された。

質疑では、シティズンシップ教育の定義から意義にかかわる問題や子どもの哲学をシティズンシップ教育応用していくことについてだけでなく、コミュニティの意味や民主主義の価値や現代社会のあり様といった点にまで話題がおよび、活発な議論が為された。     

<ワークショップ・講演会>
2012年5月7日、9日 上智大学にて開催

5月7日(月)18:30~20:30
   Workshop “Science education through dialogue”
   (ワークショップ「対話を通じた理科教育」)
5月9日(水)18:30~20:30
   Lecture “Philosophy in schools in Australia”
   (講演「オーストラリアの初等・中等学校における哲学」)
※ワークショップ・講演とも英語で行われます。

オーストラリアのティム・スプロッド氏をお招きし、小・中・高等学校における哲学教育にかんするワークショップ・講演を開催することになりました。奮ってご参加ください。


     会場:上智大学 7号館4階 文学部共用室
     連絡先:寺田俊郎(上智大学文学部哲学科)
     Email:tterada[atmark]sophia.ac.jp
     Tel: 03-3238-3824
     ※予約の必要はありません。

ティム・スプロッド氏紹介 Dr Tim Sprod
タスマニア初等・中等学校哲学協会会長(Chair, Association for Philosophy in Tasmania Schools)、タスマニア大学名誉客員研究員(Honorary Associate, University of Tasmania)。中等学校の教員として20年以上にわたり、4カ国で授業を行う。タスマニアのフレンズスクールで国際バカロレアのコーディネーターを務めた。1986年より「子どものための哲学(Philosophy for Children)」に携わり、教員の指導も行っている。Philosophical discussion in moral education: the community of ethical inquiry(Routledge, 2001)は、哲学教育、道徳教育等に携わる教員や研究者に向けて書かれたものである。昨年、Discussions in Science: Promoting Conceptual Understanding in the Middle School Years(Australian Council for Educational) が出版された。

<第3回研究会の概要>
2012年6月23日、24日 上智大学にて開催
6月23日(土)
テーマ「高等学校倫理と哲学対話の接続」

   報告1(13:30~16:00)
   「問いを生きる高校生―現場レポート」
報告者:長野県立望月高等学校教諭・綿内真由美さん
   報告2(16:30~19:00)
   「哲学教育と理性の公的/私的使用」
報告者:国士舘大学教授・木阪貴行さん

6月24日(日)

   研究・実践報告1(13:00~14:30)

   研究・実践報告2(15:00~16:30)
*当研究プロジェクトのおメンバーによる研究・実践報告があります。
詳細はお問い合わせください。

上記の通り、初等・中等学校における哲学教育にかんする研究会を開催します。関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。事前予約の必要はありません。

会場: 両日とも上智大学(四谷キャンパス)7号館4階文学部共用室A
  千代田区紀尾井町7(JR線・地下鉄線「四谷」徒歩5分)
  *土・日は新宿通側の門(北門)は閉まっています。
      ソフィア通側(真田濠側)の門(正門)からお入りください。
問合せ: 寺田俊郎(tterada[atmark]sophia.ac.jp)