代数学III(ガロア理論)・講義内容と予定
秋学期3Q・月曜2時限+木曜2時限・紀-505教室
講義概要
「この方程式は平方根だけじゃ解けないなぁ」
「君は実に…方程式を解くのが下手なんだなぁ」
「そうじゃなくて平方根だけじゃ解けないことが証明できるんだよ」
「え?どゆこと?」
方程式の解法理論から生まれたガロア理論は、
現代では体の拡大の理論として定式化され、
さらに様々に一般化されて数学のあちこちに現れている。
本科目では、方程式の古典解法から始め、
体論の基礎事項の後に、体の拡大の理論としてのガロア理論を扱い、
最後にガロア理論を踏まえて古典解法を再訪する。
数学を学んでガロア理論を知らずば画竜点睛を欠く。さぁ君もいますぐ登録。
講義計画
今までの代数系科目(代数学基礎・代数学I(群論)・代数学II(環と加群))
を踏まえて、体論およびガロア理論について講義する。
体論の基礎事項として、体の構成・代数拡大・超越拡大・代数閉体
・拡大次数・共役・正規拡大・分離拡大などの概念を導入した後、
ガロア理論の基本定理を紹介し、
基本的な例として有限体・円分体・クンマー拡大などに触れる。
併せて古典的な問題意識として方程式の解法理論や作図問題との関連にも
時間があれば触れたい。
受講生の予備知識・理解度に合わせて、適宜進度を見直すことがある。
- 導入:代数方程式の古典的な解法探求
- 環と体・体の構成(分数化・剰余環)
- 体の拡大(拡大次数・代数拡大・超越拡大)
- 代数拡大(単拡大・最小多項式・拡大次数の連鎖律・根体・分解体・代数閉体・代数閉包)
- 有限次代数拡大の基本的な不等式・共役・正規拡大
- 標数・有限体・分離元・分離拡大
- 体拡大の自己同型群・ガロア拡大・ガロア群・ガロア理論の基本定理・ガロア対応
- 例:円分体・有限体・巡回クンマー拡大
- ガロア群の計算例と方程式の古典解法
- などなど
主な参考書
- 中野伸「ガロア理論・その標準的な入門」(サイエンス社・SGCライブラリ27・ISSN 0386-8257)
- 中島匠一「代数方程式とガロア理論」(共立出版・共立叢書 現代数学の潮流・ISBN:978-4320016965)
- 雪江明彦「代数学 2 環と体とガロア理論」(日本評論社・代数学シリーズ・ISBN:978-4535786608)
- 足立恒雄「ガロア理論講義[増補版]」(日本評論社・日評数学選書・ISBN:978-4535601413)
- 藤崎源二郎「体とガロア理論」(岩波書店・岩波基礎数学選書・ISBN:978-4000078139)
- 木村俊一「ガロア理論」(共立出版・数学のかんどころ14・ISBN:978-4320019942)
- 飯高茂「体論, これはおもしろい−方程式と体の理論」(共立出版・数学のかんどころ18・ISBN:978-4320019980)
- J.P.Tignol著・新妻弘訳「代数方程式のガロアの理論」(共立出版・ISBN:978-4320017702)
- その他「ガロア理論」と付く本はたくさん出版されているので、
書店・図書館などで自ら見比べて自分に合ったものを選んでもらいたい。
- また入学以来の各関連科目のノートを充分に活用されたい。
講義内容
準備中