光ファイバ通信ではすべて光で情報が伝送されているのでしょうか?否です。実は電話でいうとある人とある人を接続する「交換」というところでは一度光の情報が電気の情報に置き換えられ、電気の情報が「交換」され、そしてまた光の情報に戻されて伝送されています。これは光のままオン、オフするような光スイッチが発展途上のためです。今後さらなる情報量の増大、情報形態の多様化が進んだ場合には、この電気交換技術に代わって、光を用いた交換技術が考えられます。光交換技術は高速性と同時に、光の重要な特徴である、「並列性」や「波長多重」という電子にない特徴を持っており、これらを生かすことによってより一層の伝送容量の拡大が可能となる新しい光通信システムが期待できると考えられます。
光スイッチの種類としては機械式、MEMS、導波路型に分けられます。機械式は光ファイバを電磁アクチュエータなどで駆動し、光ファイバを別の光ファイバに切り換える方式やレンズで拡大された光ビームをプリズムやミラーの動きで切り換える方式に分類されます。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は最近特に注目されている光スイッチです。これは空間を伝搬する光ビームに対してマイクロマシン技術を用いてミクロンサイズのミラーやシャッターを挿入して光の行路を変える光スイッチです。導波路型は平面光波回路(Planar Lightwave Circuit: PLC)技術によって作製され、熱、光、電気などの外部入力による屈折率の変化と導波路構造とを組み合わせて動作させる光スイッチがあります。
それぞれの長所と短所は以下のようになります。
長所 | 短所 | |
機械式 | 低コスト、低挿入損失 高消光比 |
小型化、低電力化 大規模マトリクス |
MEMS | Siプロセスライン使用 自由空間光回路 |
行路長増大 アライメント許容誤差 |
導波路型 | 小型化 ファイバとの接続 屈折率変化大 高速応答 |
挿入損失 消光比 偏波依存性 |
この中で光導波路型はさまざまな材料を用いて光スイッチが試作、研究されています。主な光スイッチとしては熱光学効果を用いた石英系PLCやポリマーPLCによる光スイッチ、電気光学効果を用いたLiNbO3などの誘電体光スイッチや半導体光スイッチがあります。
光導波路の構造と動作原理で分けると以下のように分類できます。
方向性結合器 | マッハツェンダー型 | ディジタル型 | 交差型 | |
動作原理 | 結合導波路 | 位相変化 | 屈折率導波 | 全反射 |
構造図 |
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