2013年度の講義概要




計算機数学

「計算」とは何か、「計算できるか/できないか」というような問いに対して、 数学では、「計算機が行なうこと」を「計算」と考え、 計算機が行なえることを「計算モデル」として定式化することによって 「計算」を定義し、明確に答えることを可能にしてきた。 本講義では、代表的な計算モデルを取り上げながら、 計算の理論・アルゴリズムの概念・計算量の理論の初歩を紹介し、 計算の可能性・効率について論ずると共に、 具体的な例として幾つかの基礎的な数理アルゴリズムについて触れる。

主な参考書

数学科教育法III(教職課程)

「十を知って一を教える」。 解法テクニックや知識断片の羅列・押付けに陥らない為には、 中学高校で学習する数学の内容をより高く広く深い立場から理解し、 数学全体での位置付けや他の事柄との関連を認識した上で、 その中の何を如何に教えるかを意識的に選択することが必要である。 アンケートや模擬授業を通じ、 具体的な授業の方法についても議論し、共に考える。

主な参考書

理工基礎実験・演習(情報演習・物質生命理工学科クラス)

この実験は理工学部3学科に共通の実験であり、自然科学の基礎的な分野である、 物理学・化学・生物学・情報科学の4つの分野の実験と演習からなっている。 科学技術は細分化・専門化されており、 理工学部の卒業生にはその専門分野における高度な知識と技術が求められているが、 一方で、学際的な視点も身につけなければならない。 理工基礎実験は、 自分の目指す専門分野とは異なる分野を体験できる貴重なチャンスである。 現在の自分には苦手な分野・興味のない分野こそ、 この機会に真剣に取り組んでいただきたい。

この中の情報演習(3回)を担当する。

代数学特論I(大学院数学領域)

代数学・整数論・表現論などの話題の中から、学部の授業では到達しないが、 大学院生としては知っているべき基本的な内容を選んで講義する。 内容は受講生の希望や予備知識などを踏まえて決めるが、 加群のホモロジー代数・有限群の線型表現・代数的整数論などの 基本事項を予定している。

情報理工学演習II

プログラミング演習では、 ネットワークプログラミングを中心に、プログラミングの応用編の内容を扱う。 ネットワークを介して接続されたPC間でデータを送受信して処理を行う仕組みと その実装について理解する。 内容は、クライアント・サーバ通信、サーバサイドスクリプト言語による 動的なwebページの作成などについてプログラム作成の演習を行う。 数学演習では、解析学の基礎を学びなから、 論理的な理解力と正確な表現・伝達力を身につけることを目標とする。 三角不等式による評価・有界性・収束性・連続性・実数の基本性質 ・複素数・微分積分など基本的な解析系の数学的概念を題材とする。

この中の数学演習(7回)を担当する。

代数学III(ガロア理論)

今までの代数系科目(代数学基礎・代数学I(群論)・代数学II(環と加群)) を踏まえて、体論およびガロア理論について講義する。 体論の基礎事項として、体の構成・代数拡大・超越拡大・代数閉体 ・拡大次数・共役・正規拡大・分離拡大などの概念を導入した後、 ガロア理論の基本定理を紹介し、 基本的な例として有限体・円分体・クンマー拡大などに触れる。 併せて古典的な問題意識として方程式の解法理論や作図問題との関連にも 時間があれば触れたい。

主な参考書

理工学概論(情報理工)

現代社会では、環境・生命・安全・倫理は、重要な課題である。 技術開発やその利用を行う理工系の人間にとって、 これらに対する認識は非常に重要である。 本講義では、これらに対する基礎知識について輪講で講義する。

この中から、2回を担当し、 情報化社会での安全な情報通信を支える数理技術の中から、 秘密分散・誤り訂正符号・暗号通信・電子認証などについて、 その基本的な仕組み・活用・裏付けとなる基礎数理を、実習を交えて紹介する。

数の世界

小学校の算数以来馴染みの深い「数」、とりわけ「整数」の振舞いについて、 様々な奥深い現象を紹介する。 剰余と合同式、ユークリッドの互除法による最大公約数の計算法、 連分数展開、方程式の解法理論の歴史、素数の概念の意義と見直しなどの話題に加え、 暗号など近年の情報化社会における応用などを通じて、 数理現象の探求が数理技術として活用されている様子にも触れる。 高校の「数学II・数学B」程度の予備知識を想定する。

主な参考書

代数3 (早稲田大学教育学部数学科・非常勤)

今までの代数系科目を踏まえて、体論およびガロア理論について講義する。 体論の基礎事項について復習・補充をした後、ガロア理論の基本定理を紹介し、 基本的な例として有限体・円分体・クンマー拡大などに触れ、 併せて古典的な問題意識として方程式の解法理論や作図問題との関連にも 時間があれば触れたい。

主な参考書