秋学期・金曜3時限・12-102教室
「0.999…って大体1だよね。」 「大体ってなんだよ。ちょうど1だよ。」 「え?そうなの?」
実数全体の集合Rは多くの数学的現象の基本的な場であり、 ただ数が集まった集合であるだけでなく、 四則演算が出来るという代数構造、 大きい/小さいという順序構造、 近い/遠い・収束・極限という距離・位相構造を備えていることが重要である。 本講義の前半では、 より基本的な数である自然数から実数を構成する道筋を辿ることで 実数の基礎付けを行ない、 後半では、実数の基本的な構造の中でも特に距離・位相構造に焦点を当てて、 幾何学・解析学が展開する場としての実数の基本性質を講義する。 集合・写像・同値関係などの用語を用いるので、 「現代数学A」(或いはそれに準じる科目)を学んでいることが望ましい。
以下は全体の予定であり、 受講生および担当者の興味などにより変更する場合もある。
まとめプリント・演習問題プリントはLoyola授業掲示板に掲載していますが、 こちらにも掲載しておきます。
演習問題は取り組み推奨・提出任意。 評価は主として期末試験の成績により行なうが、 合否の判定が難しい場合には、 演習問題の提出状況・提出内容を参考にすることがある。 答案整理の都合上、両面印刷をした用紙に書き込んで提出してくれると助かります。
配ったプリント [page 0(pdf,13KB) ]
本授業の概要・予定。半期の講義内容全般の概観・予告。
「0.99999…‥…=1?」を巡って。 等式・等号について、改めて考える。 数体系の概観(自然数N・整数Z・有理数Q・実数R・複素数C)。
配ったプリント [アンケート(pdf,5KB) ]
整数Zを基にした有理数Qの構成(1): ここで認めるZの基本性質。同値関係・類別・商集合。
整数Zを基にした有理数Qの構成(2): 同値関係・類別・商集合。整数の組の同値類としての有理数の構成。 有理数の和・積の定義とそのwell-definedness。
整数Zを基にした有理数Qの構成(補足)。自然数Nを基にした整数Zの構成。
自然数Nの基礎付け (1):空集合からの構成。 (2):Peanoの公理系。
自然数Nの基礎付け(2):Peanoの公理系(続き)。 Nの加法・乗法・大小関係の定義。 数学的帰納法を駆使した基本諸性質の証明。
創立記念日および「ソフィア祭」実施による授業休講日のため、 授業なし。
有理数Qを基にした実数Rの構成(1):Dedekindの切断(順序による完備化)。
有理数Qを基にした実数Rの構成(2): Dedekindの切断(続き)。順序に関する完備性。 収束・極限の観点からの考察。ε-N論法による数列の収束の定式化。
有理数Qを基にした実数Rの構成(3):収束・極限の観点からの考察。 ε-N論法による数列の収束の定式化。 ε-N論法による証明の例(極限の一意性など)。 "$\sqrt{2}$" に収束する有理数列。
有理数Qを基にした実数Rの構成(4):Cauchy列を用いた完備化。 Rを有理Cauchy列の同値類として構成する。加法・乗法の定義。 順序(大小関係)。
有理数Qを基にした実数Rの構成(5):Cauchy列を用いた完備化(続き)。 順序(大小関係)・除法の定義。 Cauchy列の収束(完備性)。
公理による実数の特徴付け(実数の連続性)(導入)。
公理による実数の特徴付け・実数の諸性質の同値性(実数の連続性)(1)。 Dedekindの切断の公理。有界集合の上限・下限の存在。有界単調数列の収束。 有界数列の上極限・下極限の存在。
公理による実数の特徴付け・実数の諸性質の同値性(実数の連続性)(2)。 有界数列の集積点の存在(Bolzano-Weierstrassの定理)。 Archimedes性。区間縮小法の原理。Cauchy列の収束(完備性)。
関数の収束・極限(所謂「ε-δ論法」)。 関数の連続性。実数の連続性と中間値の定理。
関数の収束・極限(所謂「ε-δ論法」)。 関数の連続性。関数列の極限。各点収束・一様収束。一様連続。
期末試験を行なう。