春学期・月曜3時限・3-421教室4/18は暫定的に12-302教室に変更11-704教室
授業時のプロジェクタ資料を掲載する予定です。 各授業日の項から見て下さい。 但し、各授業中の前回の復習部分を含んでいるので、内容に重複があります。 印刷時には必要なページだけ印刷するなどして下さい。
一変数の場合を中心に、微分積分など数学に於ける解析的手法を扱う。 高校までの「等式の数学」で余り触れられない「不等式による評価」の話から始めて、 Taylor展開の理論を大きなテーマとし、 極限・収束・無限和・微分・積分・近似計算などを関連付けて講義したい。 高校までで学んだ知識も活用する一方、それらのより確かな基礎付けも与える。 問題演習や多くの例を通じて理論的な事項を実感すると共に、 将来出会う様々な実例に馴染んでもらいたい。 この科目は、多変数の微積分(数学BII)・微分方程式・複素関数論・フーリエ解析など 引き続いて学ぶ数学の基礎としてだけでなく、 物理学・工学等の理工系のあらゆる科目の基礎として重要である。
不等式による評価から始めて、Taylor 展開を主な切口に、 一変数の微分積分について以下の事柄を中心に解説する。 時間があれば更に各週読み切りで幾つかのトピックを紹介したい。
併設の演習科目「数学演習I」の微分積分演習(隔週)と連携して進めるので、 そちらの演習問題もここに置いておく予定。
配ったプリント [page 0(pdf,16KB) ] ・プロジェクタ資料 [4/11授業時(pdf,51KB) |4/11印刷用(pdf,48KB) ]
前振り (理工系1年次の数学の授業・ノートの取り方など)。 不等式による評価。解析学は不等式の数学である。三角不等式の使い方。収束・極限の定式化に向けて。
配ったプリント [演習1(pdf,8KB) ] ・プロジェクタ資料 [4/18授業時(pdf,34KB) |4/18印刷用(pdf,30KB) ]
不等式による評価(続き)。極限と近似。 所謂「ε-δ」流の極限の定式化。
Taylor展開(予告編)。
関数 f(x)=x^2 において、 x を -4 に近付けると f(x) は 16 に近付くようだが、 その誤差について、
- |f(x)-16| < 0.1 となるためには、x をどの程度 -4 に近付ければ良いか (つまり、|x-(-4)| < δ ⇒ |f(x)-16| < 0.1 と言えるためには、 δの値をどれくらいにすれば良いか)。 (ヒント: x=-4+h と置くと計算し易い。)
- |f(x)-16| < 0.0001=1/10000 となるためには ?
- 一般に、εを任意の正の数として、|f(x)-16| < ε となるためには、 δの値をどれくらいにすれば良いか。 (ヒント: 同じ要領の評価を変数εのまま行なえば良い。)
プロジェクタ資料 [4/25授業時(pdf,54KB) |4/25印刷用(pdf,35KB) ]
所謂「ε-δ」流の極限の証明の例。
Taylor展開の導入。形式的 Taylor 展開の幾つかの例。
配ったプリント [page 1(pdf,21KB) |演習2(pdf,7KB) ] ・プロジェクタ資料 [5/02授業時(pdf,55KB) |5/02印刷用(pdf,39KB) ]
Taylor展開の利用(極限計算・近似値計算)。 Taylor 展開の利点・欠点・課題点。
無限級数の収束・発散の例。調和級数に関する"奇怪な"現象の例。
- f(x)=sin x の Taylor 展開を求めよ。
- これを利用して、
- 極限 lim_{x→0}(sin x-x)/x^3 を求めよ。
- sin 1 の近似値を小数第 4 位まで求めよ。
プロジェクタ資料 [5/09授業時(pdf,58KB) |5/09印刷用(pdf,48KB) ]
無限級数の収束・発散の例。 有限和と異なり、無限和では、項の順番を入れ替えると、 任意の実数値に収束せしめたり、発散せしめたりし得ることがある。 調和級数 Σ_{n=1}^∞ 1/n が発散することを、1/x の積分と比較した評価で示す。
絶対収束・条件収束。 正項級数は部分和が(上に)有界なら収束し、しかも項の順番に依らない。 絶対収束する級数は項の順番を任意に入替えても同じ値に収束する。
正項級数の収束判定。比較判定法。「無限等比級数の和」を比較基準に。
プロジェクタ資料 [5/16授業時(pdf,86KB) |5/16印刷用(pdf,74KB) ]
正項級数の収束判定。 簡単な収束性判定(d'Alembertの比テスト・Cauchyのn乗根テスト)。 冪級数とその収束半径。
Taylorの定理(剰余項の評価)。 形式的Taylor展開級数については、
という点が問題となる。収束性についてはここまでで論じた。 剰余項が 0 に収束すれば元の関数と一致することが保証されるので、 そのために剰余項の評価に関するTaylorの定理を紹介。
配ったプリント [page 2(pdf,20KB) ] ・プロジェクタ資料 [5/23授業時(pdf,40KB) |5/23印刷用(pdf,34KB) ]
剰余項の評価に関するTaylorの定理を、 Rolleの定理・平均値の定理を用いて証明。 Taylorの定理(剰余項の評価)の証明。近似値計算と誤差評価。
f(x)=e^x のTaylor展開の剰余項 R_N(f;x) について、
- |R_N(f;1)| < 10^{-4} となる(なるべく小さい)N を与えよ。
- e の近似値を小数第 3 位まで求めよ。
- 誤差が 10^{-3} 以下であることを保証せよ。
配ったプリント [page 3・4(pdf,31KB) ] ・プロジェクタ資料 [5/30授業時(pdf,41KB) |5/30印刷用(pdf,36KB) ]
Taylor展開の利用と応用: 近似値計算と誤差評価(丸め誤差・打切誤差)・項別微積分・極限計算・二項展開。
中間試験を行なった。 [中間試験問題(pdf,28KB) ](誤記訂正済)
配ったプリント [演習3(pdf,5KB) ]・プロジェクタ資料 [6/13授業時(pdf,50KB) |6/13印刷用(pdf,46KB) ]
今までの補足。 判定が微妙な例:s>1 ならば Σ_{n=1}^∞ 1/n^s は収束。 Riemannのζ関数とその特殊値(お話)。 形式的Taylor展開級数が収束しても元の関数と一致しない例。
逆関数。或る種の微分方程式を満たす関数の逆関数は積分で表される。 逆三角関数 arcsin x,arctan x とそのTaylor展開。
arcsin の時の真似をして、次の手順で y=arctan x のTaylor展開を求めよ。
- x=tan y の満たす微分方程式を求める
- arctan x を積分で表す
- 被積分関数をTaylor展開して項別積分する
配ったプリント [演習4(pdf,13KB) ]・プロジェクタ資料 [6/20授業時(pdf,65KB) |6/20印刷用(pdf,57KB) ]
冪級数は複素数の範囲で考えると本性を表わす。 Euler の公式:e^{ix}=cos x+i sin x。双曲線関数。
積分。区分求積から積分の定義に向けて。
f(x)=x^2 の [0,a] での定積分 I=∫_0^a f(x)dx を計算したい。 分割 Δ_n: 0=x_0<x_1<…<x_n=a を n 等分な分割 (即ち x_i=ia/n)とする。
- 各小区間 I_i=[x_{i-1},x_i] での f(x) の下限 m_i=inf_{x∈I_i} f(x) および上限 M_i_{x∈I_i} f(x) は?
- s_{Δ_n}=Σ_{i=1}^n m_i (x_i-x_{i-1}) 及び S_{Δ_n}=Σ_{i=1}^n M_i (x_i-x_{i-1}) を計算せよ。
- 任意の n に対して s_{Δ_n}≦I≦S_{Δ_n} であることから、I=∫_0^a f(x)dx を求めよ。 (lim_{n→∞}s_{Δ_n},lim_{n→∞}S_{Δ_n}$ が、 それぞれ存在して等しくなることを確かめよ。)
配ったプリント [page 5〜6(pdf,31KB) |page 5のみ(pdf,19KB) |page 6のみ(pdf,24KB) ] ・プロジェクタ資料 [6/27授業時(pdf,55KB) |6/27印刷用(pdf,45KB) ]
積分の基礎付け(Riemann積分)。有界閉区間上で有界な関数の積分の定義。 定義で苦労することによって証明が見通し良くなる道を選ぶのが、現代数学の流儀。 (Riemann積分の意味で)積分できない関数の例。
連続関数の積分可能性。
プロジェクタ資料 [7/04授業時(pdf,46KB) |7/04印刷用(pdf,41KB) ]
連続関数の積分可能性。微分積分学の基本定理。 連続関数に対しては、 積分の理論の範疇である定積分関数や不定積分と 微分の理論の範疇である原始関数(逆微分)とが一致する、 というのが、微分積分学の基本定理の内容である。 これにより、定積分の計算自体は高校で学習したように 原始関数が判れば計算できる。
広義積分(変格積分)とその簡単な収束判定。Γ関数・Β関数。
配ったプリント [page 7〜8(pdf,28KB) |page 7のみ(pdf,21KB) |page 8のみ(pdf,17KB) ]・プロジェクタ資料 [7/11授業時(pdf,37KB) |7/11印刷用(pdf,36KB) ]
授業アンケート。
広義積分(続き)。Γ関数・Β関数。
積分の計算法。 簡単に見える関数でも不定積分が初等関数の範囲で得られないこともあるので、 積分の計算が一般的にいつでも出来る方法はなく、 個別のテクニックに頼らざるを得ないが、 或る程度の範囲については原理的に出来る方法がある。 その例として、 有理関数の不定積分・無理関数の不定積分・三角関数の有理関数の不定積分。 これら積分の計算法が何故うまく機能するのかという幾何的な背景。
「海の日」で本授業なし。
期末試験を行なう。